戦国武将ファンや歴史ファンなら、一度は体験してみたい「甲冑・武将コスプレ」。しかし、「どうやって着物や甲冑を用意したら良いのか分からない」、「レプリカにしても購入費用が高い」といった悩みを持つ人も少なくないでしょう。そんな人におすすめなのが、甲冑・武将コスプレが気軽にできる体験スポットです。全国にある体験施設の一部を紹介します。

伊達政宗
片目の英雄であり、「独眼竜」(どくがんりゅう)の異名を持つ「伊達政宗」は、歴史ファンから圧倒的な人気を誇る戦国武将のひとり。
昨今の歴女ブームの要因となった武将でもあり、武将コスプレを好む「武将コスプレイヤー」にとっても憧れの存在です。
伊達政宗ゆかりの地である宮城県には、例年、多くのファンが訪れています。
なかでも、コスプレに興味がある伊達政宗ファンにおススメしたい場所が「みちのく伊達政宗歴史館」(宮城県宮城郡)です。晩年の伊達政宗が愛した場所であり、日本三景のひとつ「松島」に位置しています。
同歴史館では、伊達政宗の歴史を学ぶことはもちろん、甲冑の着付け体験が可能です。館内で行なわれている甲冑着付け体験は、男性だけでなく、女性や子どもも参加できるため、家族で武将コスプレを楽しみたい人にも打って付け。

雪の下胴
この体験で着用する甲冑は、伊達政宗所用の甲冑を複製した「黒漆五枚胴具足」(くろうるしごまいどうぐそく)です。
兜に付いた細い三日月の前立(まえだて)が印象的な甲冑で、戦国武将の甲冑と言えば、この甲冑を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
黒漆五枚胴具足は、伊達政宗が鎌倉・雪ノ下で甲冑の制作をしていた甲冑師の一派「明珍派」(みょうちんは)に造らせた甲冑で、「雪の下胴」(ゆきのしたどう)とも呼ばれています。また、仙台藩初代藩主である伊達政宗から、この甲冑様式が仙台藩内で踏襲されたため「仙台胴」という呼び名でも広まりました。
黒漆五枚胴具足の大きな特徴は、シンプルながら黒漆の美しさが際立ち、数々の戦を勝ち抜いた伊達政宗らしい実戦向きで重厚な造りであること。伊達政宗ファンならば、一度は身に付けてみたい甲冑と言えます。
みちのく伊達政宗歴史館の着付け体験で用意されているのは、ドラマや映画の甲冑制作を行なう職人が手掛けた黒漆五枚胴具足です。実際の黒漆五枚胴具足と同様に作られた甲冑は、なんと総重量20kg。甲冑の実際の重さを体感しながら、伊達政宗になりきることができます。軽量のレプリカも用意されているので、女性や子どもも体験可能。
施設内であれば、どこでも着用写真や動画の撮影ができ、本格的な武将コスプレ写真を残せるのも嬉しいポイントです。友人へのビデオレターや、結婚式用の写真、家族の年賀状など、珍しい甲冑姿は様々なシーンに活用できます。

みちのく伊達政宗歴史館
また、館内では等身大の蝋人形を使って、伊達政宗の生涯を再現。250体を超える蝋人形は、登場人物の喜怒哀楽を感じられるよう、表情まで細かく作り込まれているので、時間をかけてじっくり鑑賞することをおすすめします。
ジオラマを通して伊達政宗の歴史も深く学べるので、伊達政宗の聖地を巡る前に事前学習の場として訪れておくと、そのあとの観光もより楽しめることでしょう。
館内には「政宗パフェ」が人気を集める喫茶を始め、伊達政宗グッズやお土産が購入できる売店も。伊達政宗ファンはもちろん、伊達政宗のことを知りたい方や子どもも一緒に楽しめる観光施設となっています。
なお、甲冑着付け体験の内容は変更・中止となる場合があるので、来館前に施設の公式サイトやお電話で最新情報をご確認下さい。
| みちのく伊達政宗歴史館 | |
|---|---|
| 所在地 | 〒981-0213 宮城県宮城郡松島町松島字普賢堂13-13 |
| 電話番号 | 022-354-4131 |
| 営業時間 | 9~17時(入館は閉館の30分前まで) |
| 休館日 | 年中無休 |
| 施設詳細 | https://www.homemate-research.com/dtl/75000000000000117563/ |

千葉市立郷土博物館
千葉県は、全国でも子育て世帯が非常に多いことから、子ども向けの観光名所が充実している地域です。
そんな千葉県で、家族向けの甲冑体験ができるスポットとしておすすめしたいのが、「千葉市立郷土博物館」(千葉県千葉市)。
千葉市立郷土博物館は、千葉市の中心に位置する「猪鼻城/亥鼻城」(いのはなじょう)跡に建ち、建物は模擬天守という珍しい博物館です。猪鼻城は通称「千葉城」とも呼ばれており、平安時代から室町時代の約330年間、下総国(現在の千葉県北部、茨城県南西部)を拠点に勢力を伸ばしていた、千葉氏の居城とされていました。
同博物館では、子どもと一緒に参加できる「鎧やむかしの着物の着用体験」を毎年10回ほど開催しています。着用する甲冑や衣装の解説も行なわれているため、知識を深めながら体験したい方にもおすすめです。
体験用の甲冑は、鎌倉時代の上級武士が着ていた「大鎧」や、中世を代表する「色々縅腹巻」(いろいろおどしはらまき)、鉄砲伝来後に主流となった「当世具足」など。平安時代から戦国時代までの様々な甲冑の着用体験ができます。
また、平安時代の貴族を始め、武家の女性が着ていた着物なども用意されているため、家族や男女で楽しみたい方にはぴったりなイベントです。事前予約が必要なため、公式サイトで内容を確認してお申込み下さい。

千葉常胤像
さらに、千葉市立郷土博物館では、甲冑を着用したまま乗馬できる「鎌倉騎馬武者なりきり乗馬体験」も行なわれています。
この乗馬体験では、「源頼朝」に仕え「源平合戦」で尽力した、千葉氏中興の祖「千葉常胤」(ちばつねたね)などの鎌倉武士が用いた戦法も学べる貴重なイベントです。
この他、館内では千葉氏の歴史を紹介する展示や、郷土資料、甲冑や刀剣の常設展示も行なわれています。最上階にある、千葉市街地を一望できる回廊付きの展望室も見どころ。子ども向けの体験講座やイベントも毎年多数企画されています。
館内で実施されている体験イベントは、内容が変更・中止となる場合がありますので、来館前に施設の公式サイトやお電話で最新情報をご確認下さい。
| 千葉市立郷土博物館 | |
|---|---|
| 所在地 | 〒260-0856 千葉県千葉市中央区亥鼻1-6-1 |
| 電話番号 | 043-222-8231 |
| 営業時間 | 9~17時(入館は16時30分まで) |
| 休館日 | 月曜日(祝日の場合は、翌火曜日休館) 年末年始(12月29日~1月3日まで) ※臨時休館あり |
| 施設詳細 | https://www.homemate-research.com/dtl/00000000000000137775/ |

三河武士のやかた家康館
「徳川家康」と言えば、戦国の世を勝ち抜き、江戸幕府265年の礎を築いた将軍として、誰もが知る天下人です。
偉大な徳川家康の出生地「岡崎城」(愛知県岡崎市)を中心とした歴史公園「岡崎公園」には、徳川家康と三河武士について学べる「三河武士のやかた家康館」があります。
三河武士のやかた家康館は、徳川家康のルーツである松平氏に始まり、徳川家康の出生から天下統一、江戸幕府開府など、徳川家康の生涯を伝える歴史博物館です。施設名の通り、徳川家康を支えた「本多忠勝」を始めとする三河武士についても詳しく解説されており、三河武士を通して徳川家康が天下人となった歴史をより深く学ぶことができます。

井伊の赤備えコスプレ体験
三河武士のやかた家康館で最も人気のコーナーが、館内における「甲冑試着体験室」です。
ここでは、徳川家康を支えた重臣で「徳川四天王」のひとり、「井伊直政」(いいなおまさ)の部隊が着用した「井伊の赤備え」と呼ばれる甲冑を体験することができます。
全身朱色の漆塗りが施された特徴的な甲冑は、戦国武将ファンなら一度は着てみたい甲冑ではないでしょうか。
この他にも、兜の模型を着用体験できるコーナーもあります。兜を着用したまま写真撮影も可能なので、兜のずっしりとした重さに耐えながら記念撮影をしてみては。

蜻蛉切のレプリカ
また、展示室の一画には「戦国武士体験コーナー」が設置されており、刀剣や長槍、火縄銃などの展示されている武器を、実際に手に取ることができます。
展示品のなかには、徳川家康に忠義を尽くした猛将で、徳川四天王のひとり、本多忠勝の槍「蜻蛉切」(とんぼきり)のレプリカも。
長大で重量感のある蜻蛉切を持ってみると、本多忠勝が猛将と称される所以を体感することができるでしょう。
さらに、「決戦!関ヶ原」というジオラマも見所のひとつです。徳川家康が天下を取った、1600年(慶長5年)の「関ヶ原の戦い」を、直径7mの可動式ジオラマと大型スクリーンを使って再現しており、多くの来館者が最も注目するポイントとなっています。
この他、館内の特別展示室と1階展示室では、季節ごとに様々な企画展を実施。過去には、有名な刀剣の展示や、武具の知識が深まる魅力的な企画展が開催されてきました。印籠(いんろう)やキーホルダーなど、三河武士のやかた家康館オリジナルグッズも販売されています。
館内で実施されている甲冑試着体験室と戦国武士体験コーナーは、体験内容が変更・中止となる場合があるので、来館前に施設の公式サイトやお電話で最新情報をご確認下さい。
| 三河武士のやかた家康館 | |
|---|---|
| 所在地 | 〒444-0052 愛知県岡崎市康生町561-1 |
| 電話番号 | 0564-24-2204 |
| 営業時間 | 9~17時(入館は16時30分まで) |
| 休館日 | 年末(12月29~31日) |
| 施設詳細 | https://www.homemate-research.com/dtl/75000000000000002105/ |


「屋外で武将コスプレを撮影してみたい!」「歴史的な場所で甲冑を着てみたい!」という人におすすめしたい場所が、鹿児島県鹿児島市にある「仙巌園」(せんがんえん)です。
仙巌園
仙巌園でコスプレ体験
仙巌園は、1658年(万治元年)に島津家19代当主「島津光久」(しまづみつひさ)によって築かれた、島津家別邸にある大名庭園です。
目の前に広がる「錦江湾」(きんこうわん:鹿児島県鹿児島市)と「桜島」(さくらじま:鹿児島県鹿児島市)の雄大な借景が最大の魅力。桜島を築山(つきやま:日本庭園に築かれる人工的な山)に、錦江湾を池泉(ちせん:日本庭園に設けられる池)に見立てた造りとなっています。
1958年(昭和33年)に国の名勝に指定されたあと、2015年(平成27年)には世界文化遺産に登録され、世界に誇る観光名所となりました。

島津義弘の甲冑
この歴史ある仙巌園の庭園内で「甲冑着装体験&撮影会」が開催されています。
「甲冑着装体験」は、専門スタッフが丁寧に着付けを手伝ってくれるので甲冑初心者でも安心。また、時間の枠内で同時に2名まで参加可能なので、友人や家族と一緒に楽しめるのも魅力です。
大人用の甲冑は、関ヶ原の戦いで敵中突破した「島津の退き口」(しまづののきぐち)で知られる名将「島津義弘」(しまづよしひろ)の物と、関ヶ原の戦いで島津義弘を生かすために決死の覚悟で活躍した「島津豊久」(しまづとよひさ)の物の2種類を用意。さらに、子ども用の甲冑は、島津義弘の物と人気の戦国武将「真田幸村/真田信繁」(さなだゆきむら/さなだのぶしげ)の物が用意されています。
甲冑を身に着けたら、いざ庭園へ。歴史的な名勝でポーズを決めれば、誰でも戦国武将になりきることができるでしょう。専門スタッフが撮影し、データを郵送してくれるサービスも付いています。桜島を背景にかっこいい武将ポーズを決めて、特別な1枚を残してみては。

尚古集成館
また、仙巌園では甲冑体験以外にも、島津家の歴史や日本の文化を感じる様々なイベントが開催されています。
5万平方メートルを誇る仙巌園の広大な敷地には、季節を彩る植物や歴代当主が暮らした御殿、島津家の歴史が学べる「尚古集成館」(しょうこしゅうせいかん)など、見ごたえありです。
専門ガイドと共に園内を巡るガイドツアーも実施されているので、解説を聞きながら楽しみたい方は、ツアーに参加されることをおすすめします。
さらに、園内では戦国時代に島津家で行なわれていた「四半的」(しはんまと)という弓矢の体験イベントも実施。仙巌園でしか手に入らない景品も用意されているので、弓術に挑戦してみてはいかがでしょうか。
着装体験&撮影会や弓矢の体験は、事前の予約が必要です。来園前に施設の公式サイトやお電話で最新情報をご確認下さい。
| 仙巌園 | |
|---|---|
| 所在地 | 〒892-0871 鹿児島県鹿児島市吉野町9700-1 |
| 電話番号 | 099-247-1551 |
| 営業時間 | 9~17時 |
| 休館日 | 無休(3月第1日曜のみ、鹿児島マラソンのため休園) |
| 施設詳細 | https://www.homemate-research-park.com/dtl/75000000000000004465/ |
※本記事で紹介している体験イベントは、内容が変更・中止となる場合があります。訪れる際は、必ず事前に各施設の公式サイトや、お電話で最新情報をご確認下さい。