刀剣学者とは、日本刀の製法はもちろん、重ねや鎬の高さ、切れ味など各流派にみられる刀剣の特徴について研究を行う学者のことです。刀剣は武器ではなく、文化的にも美術的にも価値がある存在。そして今でも解明されていない謎が数多くあります。そのため、刀剣の作刀法や特性を解明することは日本の歴史を知る重要なポイント。刀剣学者は、日本刀を研究し、伝統や技術を後世に伝えていくことを使命としているのです。こちらのページでは、刀剣学者のなかから、古刀研究の権威である「本間薫山」と新刀研究の権威である「佐藤寒山」をご紹介。日本を代表する刀剣学者がどのような活躍をしたかについて詳しく解説しましょう。

刀剣学者とは

「刀剣学者」とは、日本刀の研究を行う学者のこと。日本刀は、世界的にも人気が高い美術品です。しかし、じつは現代でも解明されていない謎が多く存在します。
例えば、平安時代末期から鎌倉時代初期に作刀されていた刀剣「古刀」(ことう)。古刀は、日本刀の最高峰として珍重されていますが、現代の刀匠が古刀を再現するのは不可能と言われています。なぜなら、古刀の作刀方法は江戸時代頃に失われており、かつて作刀された「古刀」と、現在伝わっている刀剣の作刀方法が異なっているからです。
そして、作刀の伝統・技術を研究することは、日本がどのような歴史を辿ってきたのかを知ることにも繋がるため、刀剣学者は後世の人びとに伝統・技術を継承することを第一の使命として、日夜研究に励んでいるのです。

江戸時代から現代に続く刀剣学者

「鎌田魚妙」(かまたなたえ)は、江戸時代後期に活躍した刀剣学者。それまで曖昧だった「古刀」と「新刀」を区別し、新刀研究の基礎文献「新刀弁疑」や古刀に関する「本朝鍛冶考」(ほんちょうかじこう)などの名著を遺しました。「水心子正秀」(すいしんしまさひで)は、江戸時代後期に活躍した人物。刀工として刀剣を作刀しただけではなく、刀剣学者として「刀剣実用論」や「刀剣弁疑」などの有用な著書を遺したことで知られています。

「南海太郎朝尊」(なんかいたろうともたか/ちょうそん)は、幕末時代に京都や土佐で活躍した人物。作刀だけではなく、刀剣研究も熱心に行ったことで有名です。江戸で活躍した水心子正秀と並び「東西の双璧」と称されました。

刀剣鑑定を家業としていた「本阿弥家」(ほんあみけ)では、その膨大な鑑定資料を使って刀剣研究を行っていたと言われています。刀剣を研究していたことで知られているのは「本阿弥光悦」(ほんあみこうえつ)や「本阿弥光洲」(ほんあみこうしゅう)、「本阿弥光遜」(ほんあみこうそん)。なかでも本阿弥光遜は、大正時代に「日本刀研究会」を設立し、機関紙「刀の研究」を発行するなどして刀剣趣味の大衆化に尽力しました。

「杉原祥造」(すぎはらしょうぞう)は、明治時代後期から大正時代にかけて活躍した刀剣学者。膨大な数の刀剣の押形や関連書籍などを所蔵し、刀剣研究を行っていたと言われており、行方が分からなかった「天下五剣」の1振「数珠丸恒次」(じゅずまるつねつぐ)を再発見したことでも知られています。

この他、女性日本刀研究者の先駆けと言われる「渡邉妙子」(わたなべたえこ)氏や、刀剣研究会の講師として全国で活躍する「中原信夫」氏など、現代でも活躍する刀剣学者は多数存在。日本が誇る伝統・技術を後世へと引き継ぐために、様々な視点から研究が行われています。

主な刀剣学者

刀剣について研究を行う刀剣学者は数多く存在します。室町時代末期から代々、将軍家や大名家に仕えていた日本刀鑑定士・研師の本阿弥家をはじめ、女性の日本刀研究者の先駆けとなった「渡邉妙子」(わたなべたえこ)氏など。こちらでは、日本を代表する刀剣学者のなかから、最高峰として知られている「本間薫山」、「佐藤寒山」の2名をご紹介します。

本間薫山(本間順治)

本間薫山

本間薫山

本間薫山(本間順治)は明治時代後期から平成時代初期にかけて、日本刀のなかでも古刀研究の権威として活躍した刀剣学者。「日本古刀史」、「名刀の見どころ極めどころ」など刀剣学について詳しく解説された著作が多数あります。

また本間薫山は、1947年(昭和22年)に開館した本間美術館初代館長をはじめ、1970年(昭和45年)には日本美術刀剣保存協会の第2代会長を務めました。

なお、号である「薫山」の由来として、弟子の渡邉妙子氏は「本間氏は刀剣を観て納得したときに鼻をクンクン鳴らす癖があり、同僚からクンさんというあだ名を付けられた。これが薫山の由来になった」と述べています。

佐藤寒山(佐藤貫一)

佐藤寒山

佐藤寒山

佐藤寒山(佐藤貫一)は日本刀のなかでも新刀研究の権威として知られている刀剣学者です。「虎徹大観」や「武将と名刀」をはじめ、日本の刀剣に関する著書を数多く出版。

特に「新・日本名刀100選」では、国宝級の刀剣のみならず、重要文化財約600振、重要美術品認定の名刀約1,000振、さらに皇室所蔵の刀剣や日本美術刀剣保存協会指定の名刀のなかから、可能な限り各時代にまたがって選抜。刀剣を鑑賞する上で参考になります。

また佐藤寒山は戦後、本間薫山と共にGHQとの折衝を重ね、美術刀剣保存に尽力。多くの名刀を廃絶から守りました。その後、東京国立博物館学芸部刀剣室長や刀剣博物館副館長も務め、刀剣研究会や刀和会を発足。愛刀家の育成・指導を行いました。

刀剣・日本刀の専門サイト「刀剣ワールド」は、美術的に価値の高い刀剣や甲冑に関するコンテンツを公開しています。
こちらでは、刀剣を研究している刀剣学者について解説。なかでも古刀研究を行った本間薫山と新刀研究を行った佐藤寒山は近世刀剣界の最高峰として有名です。価値のある刀剣に対し、どのような活躍をしたのかを知ることができます。
「刀剣ワールド」の掲載内容は、刀剣・甲冑の基礎知識をはじめ、日本刀の歴史や武将・雑学、日本刀にまつわる歴史人や合戦、名刀を生み出した名工達の紹介など盛りだくさん。日本刀に関する各種アプリゲーム、刀剣・お城川柳、四文字熟語といった楽しむコンテンツも充実。刀剣や鎧兜に関する様々な情報を、あらゆる角度からバーチャルの世界でお楽しみ頂けます。

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