刀剣難解辞典は、現代でもよく使われる難読・難解な刀剣用語をまとめた刀剣辞典です。各用語ごとに、初心者向けに分かりやすい解説(一部イラスト付)と、上級者向けの詳しい解説の2種類でご紹介しています。刀剣難解辞典を上手に活用し、刀剣への知識向上へお役立て下さい。
カテゴリごとに刀剣の難解用語をご覧頂けます。
日本刀の姿は、時代や戦のニーズにより、変化を遂げて行きます。美しい反りを持ったその姿は、刀剣独自のものと言え、古来より和歌になぞらえ、「手弱女振り」(たおやめぶり)や、「益荒男振り」(ますらおぶり)と賞美されてきました。美しさや豪勇さ、時代の姿などを表現した用語をご紹介します。
日本刀を愛玩するにも、購入するにも、「状態」は大事です。
人間と同じように、刀剣も健体であったり、疲れていたり、特徴があったりと、コンディションや個性の差があり、同じくそれら表現する言葉が存在します。
刀剣の状態を表す用語を、分かりやすく解説します。
匂(におい)は、刀剣を焼入れしたときに生まれる働きで、匂口(においぐち)と合わせて、刀剣の良し悪しを決める大切な要素と言えます。
匂や匂口の用語は、刀剣を鑑賞する上で重要な用語のため、丁寧に解説します。
沸(にえ)は、匂(におい)と同じく焼入れした時に生まれる働きで、肉眼で見える程の大きい粒子を指し、地鉄にこぼれると地沸(じにえ)と呼ばれます。
相州伝や、その伝法を汲む刀工には、特に重要な働きで、多くの難解な刀剣用語があるのです。
沸の働きや見え方に関する表現を、詳細に解説します。
日本刀を鑑賞するに際、「刃文」が最初に多くの人の目に留まります。刀工の持ちうる最高の技術で焼きを入れた部分は、白く明るく冴えて、正しく用の美を司っています。
刀工や時代によって、形も種類も千差万別。数多くの表現が存在する刃文の用語を、分かりやすく解説します。
江戸焼き出し
えどやきだし大坂焼き出し
おおさかやきだし片落ち互の目
かたおちぐのめ京焼き出し
きょうやきだし腰開きの互の目
こしひらきのぐのめ互の目乱れに角がかった刃・尖りごころの刃交じり
ごのめみだれにかどがかったは・とがりごころのはまじり小乱れ小互の目小丁子の刃が交じり
こみだれこぐのめこちょうじのはがまじり逆心のある乱れ
さかごころのあるみだれ直ぐに焼き出して
すぐにやきだして出入りの穏やかな刃取り
でいりのおだやかなはどり二重刃交じりほつれる
にじゅうばまじりほつれる刃縁ほつれて飛焼かかり
はぶちほつれてとびやきかかり細直刃に、ほつれ・打徐け・喰違刃が交じり
ほそすぐはに、ほつれ・うちのけ・くいちがいばがまじり区際を焼き落とす
まちぎわをやきおとす焼高く
やきたかく焼頭に湯走りが盛んにかかる
やきがしらにゆばしりがさかんにかかる焼幅広く大どかな湾れに
やきはばひろくおおどかなのたれに焼刃の谷に沸が目立つ
やきばのたにににえがめだつ柔らか味のある焼き刃
やわらかみのあるやきば刃文は、焼き入れ時の微妙な差異によって、刃中に様々な働きが発生します。
名刀は、総じて刃中の働きが豊富であり、素晴らしい見どころ。数多くある刃中の働きを、分類別に解説します。
地鉄は、刃文や姿と共に日本刀の美しさを表現する大切な要素の1つです。
粟田口物を「青い」と称したり、古刀と新刀の地鉄の美しさの違いなど、地鉄には数々の表現や、用語が存在します。種類や働きなどと共に、地鉄そのものを分かりやすく解説します。
小板目精緻に詰み美しく
こいためせいちにつみうつくしく棒映り
ぼううつり(地鉄が)大模様に肌立つ
(じがねが)おおもようにはだだつ淡く映りごころあり
あわくうつりごころあり板目に流れ肌交じり
いためにながれはだまじり板目肌がよく詰み
いためはだがよくつみ板目大肌交じり
いためおおはだまじり板目肌に柾が流れる
いためはだにまさがながれるかな色黒みをおびる
かないろくろみをおびるかね冴える
かねさえる黒い変わりがね
くろいかわりがね小板目に杢を交えて
こいためにもくをまじえて地色青く焼刃白し
じいろあおくやきばしろし地沸微塵に厚く付く
じにえみじんにあつくつく地斑風の肌合
じふふうのはだあい地斑交じり
じふまじり白け映り
しらけうつりするめ鍛え
するめぎたえ総体に肌立っている
そうたいにはだたっている総体に軟らかい鉄となる
そうたいにやわらかいてつとなる叩き詰め
たたきつめ段映り
だんうつり地景頻りに入る
ちけいしきりにはいる疲れ映り
つかれうつり強い地鉄
つよいじがねネットリとした肌合いとなり
ねっとりとしたはだあいとなり沸映り
にえうつり練絹肌
ねりぎぬはだ肌が流れごころとなって
はだがながれごころとなって肌立ちザングリとして
はだだちざんぐりとして刃寄りに柾がかり
はよりにまさがかり平地板目鎬地柾目
ひらじいためしのぎじまさめ牡丹映り
ぼたんうつり乱れ映り鮮明に立つ
みだれうつりせんめいにたつ湯走り激しく働き
ゆばしりはげしくはたらきよく練れた鍛え
よくねれたきたえ刀工の個性が表れやすい場所としても知られている「帽子」。
日本刀の見どころや、華のひとつと言われている帽子の用語をご紹介します。
小鋒/小切先詰まる
こきっさきつまる先に行ってやや俯く
さきにいってややうつむく先伏さりごころに、小鋒に結ぶ
さきふさりごころに、こきっさきむすぶフクラ枯れ
ふくらかれフクラつく
ふくらつく(帽子が)直ぐに丸く返る
すぐにまるくかえる(帽子が)掃きかけて火炎状になる
(ぼうしが)はきかけてかえんじょうになる(帽子が)品よく小丸に返り
(ぼうしが)ひんよくこまるにかえり帽子が伏している
ぼうしがふしている(帽子の)返りを長く焼き下げ
(ぼうしの)かえりをながくやきさげ(帽子)突き上げて先の尖った
つきあげてさきのとがった(帽子が)焼深く一枚風になり、さかんに掃きかける
(ぼうしが)やきふかくいちまいふうになり、さかんにはきかける(帽子が)焼き深めにして、突き上げ、先を尖らせて長く返り掃きかける
(ぼうしが)やきふかめにして、つきあげ、さきをとがらせてながくかえりはきかける茎は、刀身を素手で触れられる持ち手部分の名称です。
日本刀にとっての茎は、刀匠が銘を切る重要な箇所である上に、日本刀の多くの事柄が分かる大切な部分です。
ここでは、茎に関する様々な用語を、分かりやすく解説します。
日本刀は、古い物を中心に、長い年月を経て来たことによって、多くの物にキズや後天的な欠点などが存在します。これは歴史的に仕方のないことなのです。
しかし、先人達が刀剣を大切にしてきた証しでもあり、しっかりと学ぶことでもあります。ここでは、瑕欠点(きずけってん)に関連する用語をご紹介します。
鑑刀用語(かんとうようご)とは、日本刀を鑑賞する際に使用する専門的な用語です。
ここでは、刀の解説がより深く理解できる鑑刀用語をイラストと共にご紹介します。
垢抜けした作域
あかぬけしたさくいき荒めの沸を交えて叢になり
あらめのにえをまじえてむらになり聊か野趣あり
いささかやしゅあり温潤極まりなき肌合
おんじゅんきわまりなきはだあい闊達である
かったつである行草に乱れ
ぎょうそうにみだれ鑑せられる
かんせられる極め通り首肯される
きわめどおりしゅこうされる経眼される
けいがんされる顕現される
けんげんされる古雅の趣き
こがのおもむき差し込み研ぎ
さしこみとぎ古香な
ここうな~ごころ
頻りに働き
しきりにはたらき時代が上がる
じだいがあがる時代が下がる
じだいがさがる姿態を呈し
したいをていししばしば経眼される
しばしばけいがんされる(忠吉の)秀岸銘
(ただよしの)しゅうがんめい滋味掬すべき
じみきくすべき新古境
しんこざかい正鵠なること
せいこくなること鉄色明るい鍛え
てついろあかるいきたえ(国広の)天正打ち
(くにひろの)てんしょううち天正磨上げ・慶長磨上げ
てんしょうすりあげ・けいちょうすりあげ藤末鎌初
とうまつけんしょ虎の顎
とらのあご南蛮鉄
なんばんてつ就中(刀剣的例文を添えて)
なかんずく匂口の塩相深いところ
においぐちのしおあいふかいところ覇気に充ちている
はきにみちている美點を表わす
びてんをあらわす附帯する
ふたいする墨守する
ぼくしゅする(国広の)堀川打ち
(くにひろの)ほりかわうち(簾刃の)萌ともいうべき状
(すだればの)めばえともいうべきじょう最も擬せられる
もっともぎせられる雄渾な姿
ゆうこんなすがた緩みや破綻なく
ゆるみやはたんなくよくみる所作
よくみるしょさく