日本刀の買取には、「銃砲刀剣類登録証」が必要?
最初に「銃砲刀剣類登録証」を確認
「刀を売りたい」と思ったら、まずはその日本刀に付いている「銃砲刀剣類登録証」(登録証)を確認しましょう。日本刀には必ず「銃砲刀剣類登録証」が添付されていなければなりません。この登録証がなければ、「銃砲刀剣類所持等取締法」(銃刀法)違反となり、日本刀の所持、売却、贈与はできないのです。一般的には、別で保管されているか、鞘に巻いて輪ゴムやテープで留められています。

銃砲刀剣類登録証
銃砲刀剣類登録証が確認できたら、下記の3つを用意して下さい。
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銃砲刀剣類登録証
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身分証明書
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日本刀本体と付属品
(鑑定書、拵、箱、折紙など)
身分証明書は、住所、氏名、年齢の確認ができる運転免許証や健康保険証、マイナンバーカードなどです。
日本刀本体に付属する拵(こしらえ)とは、白鞘(しろさや)以外の装飾が施された鞘、茎(なかご)を入れる柄(つか)、鍔(つば)など、日本刀を携帯する際の外装を指します。
折紙(おりがみ)は、今で言う鑑定書のこと。正式な折紙には、日本刀の銘、寸法、特徴、代付(だいづけ:価格)、年月日、鑑定者の氏名が記され、裏に「本」という角印が押されています。
また、日本刀を納める箱に、箱書きがあるか調べてみましょう。由来や歴代の所有者などが書かれていれば、査定の参考になるからです。
「銃砲刀剣類登録証」の所有者変更手続

所有者変更届出書
(一例:愛知県)
遺産相続などで日本刀を譲り受けた場合、すみやかに銃砲刀剣類登録証の所有者変更手続を行なって下さい。もとの所有者の住所、氏名から、新しく所有者となった方の住所、氏名へ変更しなければ、日本刀を売却することはできません。
所有者変更手続は簡単です。その日本刀の銃砲刀剣類登録証に記載されている各都道府県の教育委員会宛に、所有者変更届出書を郵送します。
所有者変更届書は、各都道府県の教育委員会のホームページからPDFファイルをダウンロードできますので、これを利用しましょう。所有者変更届出書には、銃砲刀剣類登録証に記載されている内容を間違いがないよう記入します。銃砲刀剣類登録証のコピーの添付が必要な都道府県もあるため、教育委員会のホームページで確認するようにして下さい。
都道府県によっては、郵送以外に電子申請・届出システムでの手続も可能です。
銃砲刀剣類登録証の所有者変更手続は、日本刀を譲り受けた日から20日以内に行なうよう、法律で義務付けられています。
因みに所有者変更届出を提出しても、ほとんどの教育委員会ではその後の受理完了の連絡はしません。心配な方は電話で確かめてみましょう。
「銃砲刀剣類登録証」を紛失したときは再交付の手続きへ
銃砲刀剣類登録証が見つからない、または紛失してしまった場合には再交付の手続をします。登録証が発行された都道府県が分かる場合はその都道府県の教育委員会へ、分からない場合は居住している都道府県の教育委員会へ連絡して下さい。都道府県により手続方法が違っていることもありますので、必ず確認をしましょう。再交付には1件につき手数料3,500円がかかります(※手数料についても要確認)。
銃砲刀剣類登録証がないままでは、日本刀を所持することも売却することもできません。できる限り早く再交付の手続をすることが必要です。
「銃砲刀剣類登録証」がない場合は警察署へ相談を
思いがけず蔵の奥から刀が出てきたが、銃砲刀剣類登録証がないことが分かっている場合はどうすれば良いのでしょうか。
まず、日本刀は発見された状態のまま移動させずに、居住地を管轄する警察署の生活安全課へ連絡します。その際、日本刀の取り扱いは担当部署からの指示に従って下さい。
そして日本刀の所有者となる本人が、該当する日本刀と印鑑、身分証を持って警察署へ行き、届出の手続をします。届出は、業者などの第三者に代行してもらうことはできません。代理を立てての届出は、処罰の対象となるからです。
警察署で「刀剣類発見届」に記入して提出すると、「刀剣類発見届出済証」(発見届)を発行してくれますので、日本刀と一緒に持ち帰ります。
その後、警察署は「刀剣類登録希望者通知書」を都道府県の教育委員会へ送付。後日、都道府県の教育委員会より「登録審査会のお知らせ」が届いたら、登録審査会の日まで日本刀は自宅で保管します。刀剣類発見届出済証があれば不法所持にはなりません。

登録審査会
「登録審査会のお知らせ」に記載された日時には、指定の場所へ、登録を希望する日本刀と刀剣類発見届出済証を持って行きます。
登録審査会では、文化庁から委嘱を受けた登録審査員が、その日本刀の長さや反りなどをチェック。美術品として所持することが可能かどうか審査するのです。問題がなければ、その場で銃砲刀剣類登録証が交付されます。
登録審査手数料として1振につき6,300円が必要です。
日本刀は処分せずに刀剣商へ!
警察署へ登録の依頼をしたとき、供出処分を勧められることがあります。それに従って警察に処分を依頼した場合、圧し折られて破壊されることになります。
しかし、伝来の日本刀は美術品としての価値も高く、歴史を語り継ぐ貴重な文化財でもあるので、仮に処分を勧められても即決せず、まずは刀剣商・刀剣ショップ・刀剣店へ相談することをおすすめします。