刀剣難解辞典Ⅱ(応用編)
刀剣難解辞典Ⅱ(応用編)
備前伝の刀工「長船景光」が作刀した「太刀 銘 備州長船住景光」の原文の一部を現代文に訳し、分かりやすい解説文にしました。
「太刀 銘 備州長船住景光 正和五年十月日」の作風は、鎬造り(しのぎづくり)、庵棟(いおりむね)。①腰反り(こしぞり)の浅い姿は、身幅、長さ共に、景光らしい1振です。
地鉄(じがね)は、景光の特色である②小板目肌(こいためはだ)が細かに、③沸(にえ)、乱映り(みだれうつり)が見られます。
④刃文は、小互の目乱れ(こぐのめみだれ)で、足(あし)、葉(よう)入る⑤匂出来(においでき)の作風となっています。
①腰反り(こしぞり)の浅い姿は、
鎌倉時代の刀は、持ち手や鎺(はばき)の近くを中心にして大きく反りますが、本太刀はその反り具合が浅く、
③沸(にえ)、乱映り(みだれうつり)が見られます。
刃中で目に留まる大きさの丸い粒の沸や、刃文と鎬の間に波を打って現われる影のような映りが見られます。
④刃文は、小互の目乱れ(こぐのめみだれ)で、足(あし)、葉(よう)入る
刃文は小互の目乱れで、刃文の境界から刃先に向って飛び出す足や、匂口(においぐち)から離れて刃の中に切れ切れに存在する葉が入り、
⑤匂出来(においでき)の作風となっています。
刃文がふんわりと白い霧がかかったように見える部分が多い作風となっています。
腰反り高く踏ん張りつき
こしぞりたかくふんばりつき身幅尋常
みはばじんじょう板目肌がよく詰み
いためはだがよくつみ沸映り
にえうつり沸が凝る
にえがこごる沸崩れる
にえくずれる沸匂深く
にえにおいふかく沸よくつく
にえよくつく乱れ映り鮮明に立つ
みだれうつりせんめいにたつ小乱れ小互の目小丁子の刃が交じり
こみだれこぐのめこちょうじのはがまじり総体に足・葉よく入り
そうたいにあし・ようよくはいり鎬高い
しのぎたかい鎬地を削いで
しのぎじをそいで鎬幅広めで鎬高い
しのぎはばひろめでしのぎたかい平地板目鎬地柾目
ひらじいためしのぎじまさめ刃中よく働き
はちゅうよくはたらき刃中明るく冴え
はちゅうあかるくさえ匂口明るい
においぐちあかるい匂口冴える
においぐちさえる匂口締る
においぐちしまる匂口沈む
においぐちしずむ匂口の塩相深いところ
においぐちのしおあいふかいところ匂口深い
においぐちふかい匂口が柔らかい
においぐちがやわらかい