刀剣難解辞典Ⅱ(応用編)
刀剣難解辞典Ⅱ(応用編)
備前伝の刀工「長船長義」が作刀した「短刀 銘 備州長船住長義」の原文の一部を現代文に訳し、分かりやすい解説文にしました。
「短刀 銘 備州長船住長義 正平十五年五月日(名物 大坂長義)」の作風は、①覇気に満ちた豪壮な姿に、②相州備前の名にふさわしい地刃の沸(にえ)の強さが最大の特徴。
本短刀においても、鍛えは③板目肌立ちごころに地沸(じにえ)が付き、④刃文も大乱れで足・葉が入り、⑤沸がよく付き、砂流し・金筋がかかるなど、長義らしい華やかさが溢れる1振です。
「短刀 銘 備州長船住長義 正平十五年五月日(名物 大坂長義)」の作風は、
①覇気に満ちた豪壮な姿に、
力強く躍動的である感じの姿に、
②相州備前の名にふさわしい地刃の沸(にえ)の強さ
荒沸えを本位とする相州伝の影響を受けた相州備前の名にふさわしく、地鉄(じがね)や刃文に付く沸が大きくよく輝いていること
が最大の特徴。本短刀においても、鍛えは
③板目肌(いためはだ)立ちごころに地沸(じにえ)が付き、
板目肌の不規則な波形模様の地鉄がはっきり見え、地鉄部分にも大きな沸の粒が付き、
⑤沸がよく付き、砂流し(すながし)・金筋(きんすじ)がかかるなど、
刃文と地鉄の境界付近に沸がよく現われており、うねりのある砂流しや明るく光る短い糸のような金筋もところどころに見られるなど、
長義らしい華やかさが溢れる1振です。
覇気に充ちている
はきにみちている沸映り
にえうつり沸が凝る
にえがこごる沸崩れる
にえくずれる沸匂深く
にえにおいふかく沸よくつく
にえよくつく板目肌がよく詰み
いためはだがよくつみ総体に足・葉よく入り
そうたいにあし・ようよくはいり金筋細かに入り
きんすじこまかにはいり金筋さかんに入り
きんすじさかんにはいり刃中よく働き
はちゅうよくはたらき地鉄が弛んでいる
じがねがたるんでいる(地鉄が)大模様に肌立つ
(じがねが)おおもようにはだだつ強い地鉄
つよいじがね匂口明るい
においぐちあかるい匂口冴える
においぐちさえる匂口沈む
においぐちしずむ匂口締る
においぐちしまる匂口の塩相深いところ
においぐちのしおあいふかいところ匂口深い
においぐちふかい匂口が柔らかい
においぐちがやわらかい