「太刀 銘 宗恒」の作者である「宗恒」(むねつね)は、鎌倉時代中期の古備前派(こびぜんは)の刀工です。その作風から、「友成」(ともなり)とともに古備前派を代表する「正恒」(まさつね)の系統と言えます。
いわゆる古備前物の太刀姿は、長寸の細身で小鋒/小切先(こきっさき)でありながら、反りが深いだけでなく腰元で身幅(みはば)が大きく開き、踏張り(ふんばり)がみられ、古雅かつ優美です。
本太刀は鎬造り(しのぎづくり)で庵棟(いおりむね)、腰反り高く、小鋒/小切先。茎(なかご)は生ぶで、彫物(ほりもの)は表裏ともに棒樋(ぼうひ)を鎺(はばき)元で丸どめしています。小板目(こいため)詰み、地沸(じにえ)が付き、映り(うつり)鮮明に立った鍛えです。
刃文(はもん)は、小互の目(こぐのめ)・小丁子(こちょうじ)・小乱れ(こみだれ)交じりで、小沸(こにえ)がよく付きわずかに金筋(きんすじ)がかかり、気品に満ちて古備前らしい風格を備えた作風を呈しています。
銘は「宗」の字が目釘孔(めくぎあな)にかかって読みにくくなっていますが、明らかに「宗恒」と判読できます。現存作の少ない宗恒の貴重な1振で、平成2年5月25日、重要刀剣に指定されました。