太刀 銘「備前国友成造」(びぜんのくにともなりぞう)は、平安時代中期の「古備前派」を代表する刀工「友成」が制作しました。同じく友成の作品で御物(ぎょぶつ)となっている太刀「鶯丸」(うぐいすまる)と並び称される傑作です。
「古備前派」は、「五箇伝」のひとつで備前国(現在の岡山県南東部)に栄えた「備前伝」の始祖となる刀工一派として知られています。また、「友成」は、山城国(現在の京都府)の「三条小鍛冶宗近」(さんじょうこかじむねちか)、伯耆国(現在の鳥取県中西部)の「安綱」(やすつな)と共に「日本三名匠」と呼ばれ、最も古い時代の名工としても有名です。
本太刀の刃長は79.0cm、反りが2.3cm、元幅が2.9cm、先幅は2.6cm。鎬造り(しのぎづくり)、庵棟(いおりむね:屋根の形に見える峰/棟[みね/むね])で、刀身の表裏に角留の棒樋(かくどめのぼうひ:下端部が角状になっている棒状の樋)があり、表には素剣(すけん)が浮き彫りされています。細身で腰反りの付いた気品ある美しい姿が印象的です。
本太刀は、1929年(昭和4年)に、日本銀行総裁を経て政治家となった男爵「山本達雄」(やまもとたつお)氏が所持。1931年(昭和6年)12月14日、重要文化財に指定され、1952年(昭和27年)3月29日には国宝に指定されました。現在は「東京国立博物館」(東京都台東区)が所蔵しています。