本脇差の作刀者である「家助」(いえすけ)は、備前長船(びぜんおさふね:現在の岡山県瀬戸内市)の刀工。長船鍛冶は鎌倉時代以来隆盛を極めていますが、室町時代初期の応永年間(1394~1428年)に作られた作品は、特に「応永備前」(おうえいびぜん)と呼ばれます。
応永備前の刀工の作風は、板目肌(いためはだ)に杢目(もくめ)を交えた地鉄に、刃文は丁子乱れだけでなく腰の開いた互の目が目立つといった特徴が挙げられます。
本刀も互の目を交えた丁子乱れとなっています。茎(なかご)が磨上げられており、銘が切れてしまっていますが、「備州」と「応永」の文字が残っていることから、応永期の刀であることが分かるのです。