鹿児島県の照国神社が所蔵する本太刀は、島津家に代々受け継がれた名刀です。制作したのは、備前三郎国宗。備前三郎国宗は、長船光忠(おさふねみつただ)や畠田守家のような蛙子(かわずこ:おたまじゃくし)風の丁子乱れ(ちょうじみだれ)や、長船景光(おさふねかげみつ)に近似した直刃(すぐは)調に小乱れが入る物など、作風が多岐に渡ることが特徴です。
本太刀は、1927年(昭和2年)、武将「島津忠久」(しまづただひさ)の700年祭のときに、島津家当主「島津忠重」(しまづただしげ)から照国神社に奉納された1振。そのあと、進駐軍に持ち去られる憂き目に遭って消息が分からない時期がありましたが、1963年(昭和38年)にアメリカ人愛刀家ウォルター・コンプトン氏が入手し、のちに返還されるという経歴を持ちます。
以降は国立博物館の所蔵で、照国神社に返還され、現在は鹿児島県歴史資料センター黎明館に保管されています。