皆さんのなかには、所有している甲冑(鎧兜)や武具を、審査や評価してみたいと思っている方もいるのではないでしょうか。「一般社団法人日本甲冑武具研究保存会」が開催している「甲冑武具審査会」では、お手持ちの甲冑(鎧兜)や武具を専門家に審査・評価していただくことができます。一般社団法人日本甲冑武具研究保存会の会員でなくても、審査の申込みが可能という点も魅力。この「甲冑武具審査会」と「審査認定基準」について、詳しくご紹介します。
「甲冑武具審査会」とは、一般社団法人日本甲冑武具研究保存会が開催している、甲冑及び武具の審査・評価会のことです。皆さんがお持ちになっている甲冑(鎧兜)や武具を専門家に審査してもらうことができます。
審査結果は、「重要文化資料」、「甲種特別貴重資料」、「特別貴重資料」、「貴重資料」、「保存資料」、「返却」の6段階。評価を受けた甲冑(鎧兜)・武具には、「認定証」が発行されます。日時や会場などの詳細は、一般社団法人日本甲冑武具研究保存会のホームページに随時掲載。事前に申込みをすることで、一般社団法人日本甲冑武具研究保存会の会員でない人でも、気軽に参加できます。
毎年1~2回、1968年(昭和43年)から開催されている歴史ある審査会です。
甲冑武具審査会の審査結果と評価 | |
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重要文化資料 | 歴史的な資料として優れた美術工芸品 |
甲種特別貴重資料 | 重要文化資料に次ぐ重要文化資料候補の物 |
特別貴重資料 | 甲種特別貴重資料候補で、鑑賞度が高く資料として優秀な物 |
貴重資料 | 鑑賞・資料共にすぐれた物 |
保存資料 | 資料として保存すべき物 |
返却 | 資料的価値乏しき物、改造甚だしき物、または現代改造作品 |
「審査認定基準」とは、重要文化資料、甲種特別貴重資料、特別貴重資料、貴重資料、保存資料、返却という評価がなされる際、基準となる重要な指標のこと。
申込みを行なう前に、自分の甲冑(鎧兜)や武具の制作年代や制作国、状態について、確認しておきましょう。
甲冑武具審査会の審査対象となるのは、平安時代から現代までに日本で作られた甲冑及び武具です。甲冑類、弓具類、馬具類、その他(旗幟・捕具・指揮用具・合図用具・陣営具・小武器・付属具)のこと。
なお、古代に作られた甲冑や武具、鉄砲類、刀剣や刀装具など「日本美術刀剣保存協会」が審査を行なっている物は審査の対象にはなりませんので、要注意。
また、現代に作られた甲冑・武具で著しく作域の劣る物や、外国で作られた甲冑・武具も審査の対象にはなりません。ただし、外国製の甲冑(鎧兜)でも、日本で改変、改修された物は審査対象となります。
甲冑武具審査会 審査対象
江戸時代に作られた兜で、制作年代、作者等が明らかで、作域の特に優れた物は、重要文化資料として選ばれています。
江戸時代に作られた、特に作域が優れ、制作年代、制作者等の明らかな歴史資料として貴重な物は、重要文化資料として選ばれています。
重要文化資料に準ずる価値のある物は、甲種特別貴重資料として選ばれています。
甲種特別貴重資料に準ずる価値のある物は、特別貴重資料として選ばれています。
甲種特別貴重資料に準ずる価値のある物。近・現代に作られた物でも特に作域の優れた物は、貴重資料として選ばれています。
以上のランクに達しない、江戸時代に作られた物や、近・現代の制作でも作域の優れた物は、保存資料として選ばれています。
甲冑武具審査会に申込みをしたい場合には、一般社団法人日本甲冑武具研究保存会のホームページで、甲冑武具審査会の日時や会場などの詳細をよく確認しましょう。
「出品申込書」をダウンロードして、氏名、住所、電話番号、出品名と大きさを記入。メール、郵送、Faxいずれかの方法で送ります。年2回の開催で、各会、先着50点で締め切れられてしまうので、早めの行動が肝心です。
受け付け料は、甲冑(鎧兜)や武具の大きさにより、小2,000円、中4,000円、大6,000円と定められています。また別途、評価の結果により、その級の審査料(3,000~100,000円)が掛かります。支払い方法は、当日、会場払いで現金のみなので、ご注意を。
なお、審査品の返却は、原則として当日です。残念ながら返却(級認定なし)と評価された場合には、審査料は無料となるので安心ですが受け付け料はかかります。
甲冑武具審査会 重要文化資料図録
甲冑武具審査会に参加後、審査結果、及び認定書は2~3ヵ月後に発行されます。
また、その写真と記録は、後日「重要文化資料図録」として刊行されるのも嬉しい特典です。
甲冑(鎧兜)や武具をお持ちの方は、ぜひ1度、甲冑武具審査会を利用して、愛蔵品を出品してみてはいかがでしょうか。