入門書(基礎編)
入門書(基礎編)
著者:杉浦良幸の「日本刀ハンドブック」をご紹介します。
著者は日本刀研究家の「杉浦良幸」(すぎうらよしゆき)氏。本書以外に「日本刀物語」「日本刀・刀装辞典」などの著書があり、なかでも本書は一番基本的な内容を網羅しています。
もともと1998年(平成10年)から約6年間、著者が「刀剣春秋」で連載していたものをまとめたのが本書。当時の連載タイトルが「初めて刀を学ぶ人のための刀・いろいろ学」ということからも分かる通り、刀剣ビギナーにぴったりな内容です。
また、図やイラストも豊富であり、「日本刀鑑賞・鑑定の基本」では、刀の種類・鋒/切先(きっさき)・鍛・地肌・刃文(はもん)・茎(なかご)・銘(めい)の説明がこと細かに書かれています。その詳しさは日本刀関連書籍でも随一。
「刀身についてもっと知りたい」「より詳しい刀身の部位の説明が欲しい」という方におすすめです。
日本刀の歴史的変遷も紹介され、さらには「居合道と日本刀」の章も設けられています。日本刀は美術品としての側面と、武器としての側面の両面をかね備えている物です。そして、武器としての日本刀は、居合道と密接の関係にあります。
そのため、剣道や居合道の歴史を知ることは、日本刀について知ることでもあるのです。刀剣を武道の観点からとらえる書籍はそれほど多くなく、この部分についても本書ならではの内容になっています。
居合の始祖である「神夢想林崎流」(しんむそうはやしざきりゅう)から、どのような流派が誰によって興されていったのかが分かる居合系統図も掲載。剣道と居合道の歴史、各流派の説明、居合刀の選び方などを知ることができるのもポイントです。
巻末には約30ページにわたる「刀剣用語小辞典」と「時代・国別主要刀工一覧表」が収録。鑑賞している最中に、「分からないことがあった」「調べたい用語がある」というときなどに重宝することでしょう。