「変り塗鞘 安親金具 打刀拵 鍔」は、「刀 銘 肥前国唐津住河内守源本行作」と合わせて特別重要刀装・刀剣に指定された優品です。
本鍔(つば)の依頼主は「松平大学頭頼貞」(まつだいらだいがくのかみよりさだ)。水戸光圀(みとみつくに)の弟・頼元(よりもと)の長男で、武勇を愛し学問好きな人であったと伝わります。
鍔と縁頭(ふちがしら)は、江戸金工「奈良三作」(ならさんさく)のひとり・土屋安親(つちややすちか)の作。縁頭それぞれに「安親」の金象嵌銘(きんぞうがんめい)が切られています。「大」を図案化した独創的な波濤図は「大学形」と称されました。
作刀年紀は、縁に刻まれた享保8年(1723年)2月と考察されています。
金工・藻柄子宗典(もがらしそうてん)による金無垢容彫の目貫(めぬき)は、道成寺(どうじょうじ)の安珍(あんちん)と清姫(きよひめ)を題材にしたもの。津軽塗の鞘(さや)も入念な出来で、迫力のある剛毅な拵です。