陣笠
江戸時代
みつばあおいもんりゅうまきえじんがさ 三つ葉葵紋龍蒔絵陣笠/ホームメイト

本陣笠は、鉢の部分が人の頭の形に合わせて作られる「頭形陣笠」(ずなりじんがさ)に分類される形状になっており、鉢の頂点には、「八幡座」(はちまんざ)と呼ばれる装飾金物が置かれています。正面に配されているのは、「三つ葉葵紋」と称される紋章。
この意匠は、「徳川家康」が家紋に用いていたもので、徳川家康が天下を取ったことから、徳川将軍家や御三家、そしてその支流以外の家は、家紋に使用することを禁じられていました。そのため、本陣笠は徳川家と何らかのゆかりがある人物が所有していた物と見られます。
表面に蒔絵(まきえ:漆で描いた文様の上に、金や銀などの粉を蒔き付ける加飾技法)の技法で描かれているのは、龍の文様。龍はもともと、古代中国で生み出された想像上の聖獣であり、中国では皇帝の象徴とされていた意匠です。日本においては、雨を降らせる水神、あるいは農耕神として信仰対象となっており、また、天に向かって昇るイメージから、出世や名誉といった幸運を招く吉祥文様としても扱われています。