鞍(くら)
室町時代 末期
くろじつるまるもんえだぎくもんうみありぐんじんくら 黒地鶴丸紋枝菊文海有軍陣鞍/ホームメイト

本鞍は、「前輪」(まえわ)の外側中央に「鶴丸紋」が朱で描かれ、「後輪」(しずわ)の外側中央では、「鶴丸紋」を「金蒔絵」で表現。その他、後輪の外側には、黒地に金蒔絵で「枝菊」文様が描き出されています。
前輪、後輪には「四方手」(しおで:鞍の前輪と後輪の左右の4ヵ所に付けた金物の輪で「胸繋」[むながい:「鞍橋」(くらぼね)を固定するため、馬の胸から前輪の四方手につなぐ緒]、「尻繋」[しりがい:鞍橋を固定するために、馬の尾の下から後輪の四方手につなぐ緒]を留めるための部品)を設置。
「軍陣鞍」(ぐんじんくら)とは、平安時代以降に軍用に用いられるようになった鞍で、甲冑(鎧兜)をまとった武将が乗っても安定するように、前輪と後輪が高く肉厚になっている鞍のことです。本鞍の骨格を成す鞍橋は、厚みのある材料が用いられていることから、室町時代に制作されたと考えられていますが、装飾については江戸時代になされたと考えられます。