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江戸時代 前期
とさみつおき よりともしょうぞうがさんふく 土佐光起 頼朝肖像賛幅 /ホームメイト

本掛け軸は、江戸時代前期に活躍した「土佐派」を代表する絵師「土佐光起」(とさみつおき)が制作した掛け軸です。
掛け軸に描かれている人物は、平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍した武将「源頼朝」。源頼朝は、父「源義朝」(みなもとのよしとも)が「平治の乱」で敗北したことを理由に伊豆国(現在の静岡県)へ配流され、青年期を流刑人として過ごしました。
のちに、異母弟「源義経」と共に平家を滅ぼしますが、源義経が源頼朝に対して反抗的な態度を取ったため対立。全国に「守護・地頭」を設置し、源義経を朝敵として討伐します。そして、政治的手腕を発揮した源頼朝は、鎌倉幕府の初代征夷大将軍として武家政権を創始しました。
本掛け軸の制作者である土佐光起は、「土佐派中興の祖」とも評される絵師です。もともと土佐派は、朝廷の絵所(えどころ:「画所」とも記される、平安時代の朝廷職のひとつ)として隆盛を極めていた日本画家の流派でしたが、室町時代末期の戦で13世「土佐光元」が戦没したことで絵所領職を失職。約85年後に宮廷の絵所領職として復帰したのが土佐光起でした。
土佐光起は、土佐派の主流だった大和絵以外の画題を積極的に制作し、江戸時代の土佐派様式を確立した他、口伝として伝えられてきた門外不出の土佐派の技法が、誤って後世に伝わらないようにと画法書「本朝画法大伝」(ほんちょうがほうたいでん)に著したことでも知られています。
