入門書(上級編)
入門書(上級編)
著者:常石英明の「日本刀の歴史 古刀編」をご紹介します。
著者の「常石英明」(つねいしひであき)氏は、日本刀鑑定・研究の重鎮「本阿彌光遜」(ほんあみこうそん)氏に師事していました。1932年(昭和7年)ごろから、「上村独笑」(うえむらどくしょう)、「小野賢一郎」両氏に古陶磁を学び、大学在学中には本阿彌光遜が設立・主宰する日本刀研究会に入会。特別な指導を受けながら、日本刀・古陶磁・古書画等の研究を重ねました。
本書は、若い頃より古陶磁を学び、日本刀のみならず、陶磁器、古書画など美術工芸品全般に通じ、幅広い見識を持つ著者ならではの視点で「古刀」の存在に光を当てる1冊。歴史からみる古刀の特長や刀工の系統など、日本刀初心者から愛刀家まで、知識をさらに深めるにはうってつけの良書です。本書では第1部「日本刀の歴史」、第2部「全国刀工の系統と特徴」、第3部「日本刀鑑定の秘伝書等」の3部構成で、古刀の魅力に迫ります。
そのなかでも圧巻なのが本書の大部分(約440ページ)を占める、第2部「全国刀工の系統と特徴」です。各地の総論に始まり、名刀を生みだした刀工各派の特徴が詳細に記されています。
古刀の時代より、著名な刀工を輩出した地域として知られる、大和・山城・備前・相州・美濃の「五箇伝」(ごかでん)を始め、日本各地に伝わる刀工の系統や全国分布を古刀の時代を中心に網羅。高度な技術水準の多彩な日本刀が全国各地で生まれ、優れた刀工達が技を競い合ったことがよく分かります。
日本各地の刀工にまつわる史跡や碑文などの紹介も豊富なため、旅行や出張に出かける際に携えたり、訪問地域の刀工達を事前学習したりするのにも最適。また、博物館や美術館訪問の手引きとしても有効活用できます。
「常石英明」氏は他にも「知るほど 日本刀ー刀剣の特徴と系統」や「日本刀の歴史 新刀編」(いずれも金園社)を刊行しており、知識を深めたい方もおすすめです。