「上林恒平」(かんばやしつねひら)刀匠は、1949年(昭和24年)山形県生まれ。18歳のときに、人間国宝「宮入昭平/行平」(みやいりあきひら/ゆきひら)氏に入門し、24歳のときに「新作名刀展」に初出品して「努力賞」を受賞。以来、数々の賞を受け、2008年(平成20年)には、山形県無形文化財保持者となりました。まさに、現代刀剣界を代表する刀匠です。
本脇差は、地鉄(じがね)がよく鍛えられて匂深く沸が付き、刃文は大湾れ(おおのたれ)が華やか。まるで上林恒平刀匠が私淑する南北朝時代の名工「志津三郎兼氏」を思わせる覇気のある秀逸な1振です。裏銘に昭和庚申春(しょうわかのえさるはる)と、1980年(昭和55年)の春に制作したことを明記。上林恒平刀匠が、31歳と若かりし頃の伸びやかな名品です。