「長船盛重」は、室町時代初期に備前国(現在の岡山県)で作刀した大宮派の刀工です。本脇差を作った盛重は、応永年間(1394~1428年)より活躍した長船盛重の2代目にあたります。
本脇差は、先反り深い片手打の体配で、地鉄(じがね)は板目に杢目(もくめ)が交じり淡く映りが立ち、刃文は小沸が付き匂口が締まった直刃(すぐは)で、盛重の作中としては大人しい地刃ですが、優れた出来です。
永享年間(1429~1441年)頃の備前刀は「永享備前」と呼ばれ、応永備前や寛正備前とともに、質の高い刀を世に送り出していた時代の作品として、現在でも高く評価されており、本刀もその名に違わぬ出来栄えを示しています。