銘に切られた「昭秀」とは、「栗原彦三郎昭秀」刀匠のこと。日本刀の鍛錬が趣味で、衆議院議員を務めたのち、東京(赤坂氷川町)の自宅庭に「日本刀伝習所」を設け刀工育成に尽力しました。
門下生は200余名と言われ、人間国宝の「宮入昭平」(行平)刀匠や、「天田昭次」刀匠など多数輩出。刀剣界の功労者と言われている人物です。
本刀は、昭秀刀匠の最高傑作にして代表作に上げられる1振。刃文は直刃調(すぐはちょう)で互の目(ぐのめ)頭揃え、厚く沸(にえ)が付き、足が長く入った物。刀身彫刻も見事で、彫物は門人である「阿部昭忠」(あべあきただ)名人の作。
櫃内の表には玉追い龍、裏には天孫降臨図。また、刀身には万葉集を編纂した「大伴家持」(おおとものやかもち)の長歌「海行かば」が浮彫してあり、圧巻です。