鞍(くら)
江戸時代
きんつめなしじうめばちもんうみありくら 金詰梨子地梅鉢紋海有鞍/ホームメイト

本鞍には、左右の「滝口」(たきぐち:乗り手が腰を下ろす「居木」[いぎ:乗り手が腰を下ろす部分]と、足をかける「鐙」[あぶみ]の「鉸具頭」[かこがしら]とをつなぐ革「力革」を通すために居木に開けられた穴[力革通しの穴]に沿って居木の裏側に掘り込まれた溝)に墨書の銘があります。銘は、左側に「明暦二丙申年十一月吉日 喜多川造斯」、右側に「花押」。この銘から本鞍が制作されたのは、1656年(明暦2年)の11月であると推定可能です。
「前輪」(まえわ)と「後輪」(しずわ)の内側・外側と居木の表面は、「金詰梨子地」(きんつめなしじ:金の梨子地粉を隙間のないように蒔く手法)が施され、前輪と後輪の外側中央には「梅鉢紋」(うめばちもん)が「金蒔絵」で表現されています。保存状態は良好です。