指物
江戸時代 後期
こんじしろむもんせん さしものはた 紺地白無文銭 指物旗/ホームメイト

本旗は、平織りの絹布を使用した、二幅(ふたの:織物の一般的な幅である30~36cmの2倍)の旗です。
具足の背に立てる指物旗ですが、未使用品とされています。上縁と片側を縫って袋乳(ふくろち:竿を通すために付けられた袋状の布)とし、他の片側と下縁は返し縫いです。
紺地の中央に、大きく白抜きで「無文銭」(むもんせん)を表しています。「無文銭」とは、「銭紋」(ぜにもん)の一種で、文字などが入っていない輪郭のみの図柄。
「銭」は富の象徴である一方、この世とあの世を隔てる「三途の川」(さんずのかわ)の渡し賃が6文であることから、宗教的な意味合いもあり、「真田幸村(真田信繁)」(さなだゆきむら/さなだのぶしげ)で知られる真田家は、「六文銭」を家紋のひとつとして使用していました。無文銭を家紋に用いた家柄は、徳川氏に仕えた青山氏などが挙げられます。
本指物旗は、下方の袋乳寄りに短冊形(たんざくがた)の白抜きがありますが、これは、姓名を記すための空白です。ただし、本作には記名はありません。