扇
江戸時代 中期
きんじかすみじにじつげつもんぐんせん 金地霞地に日月文軍扇/ホームメイト

親骨と中骨は竹製で、ベンガラ(インドのベンガル地方から伝来した赤色顔料)の漆塗りが施されています。
親骨には、「八卦」(はっけ:中国の占いの一種で天や火など自然の要素を8つに分類した占いのこと)の「乾」(けん)の形が彫られており、「乾」とは、北西の方角で、「陽」の性質を持ち、「堅固」や「能動的」などの意味を持つ形です。
「要」(かなめ:親骨と中骨を繫ぎ止める部分)は銀製で、「玉縁」(たまぶち:穴の縁を丸く成形すること)の「甲菊座」(こうきくざ:菊の形をした座金のこと)で固定されています。
地紙は両面とも金箔押しで、白霞が入っており上品で華やかな印象。片面には太陽を表す円が朱色で描かれ、もう片面には三日月を表す模様が描かれており、左右と上部には「三ツ星」の丸が描かれています。
「三ツ星」は、古代中国で「将軍星」とも呼ばれ、戦の神として信仰されていたことから、日本でも武士の間で広く浸透して家紋にも用いられていました。