筒
江戸時代 後期
そうらでんじかざりひなわづつ 総螺鈿地飾り火縄筒/ホームメイト

本火縄筒は、石見国(いわみのくに:現在の島根県)津和野藩主を務めた「亀井家」に伝来した逸品です。本来の用途は、戦場に火縄銃(鉄砲)を持ち運ぶための収納容器でしたが、天下泰平の時代になると、大名の格式を表す道具として華やかな装飾が施されるようになりました。
本火縄筒の装飾では、巻貝の内側にある真珠色に光る部分を薄く切り取って嵌め込む、「螺鈿」(らでん)の技法を採用。そこに亀井家の家紋「隅立て四ツ目紋」(すみたてよつめもん)の金蒔絵を施した華麗な仕上がりとなっています。
本火縄筒の制作年代として推定されているのは、亀井家の10代「茲方」(これかた)の時代。茲方は、武器奉行や細工奉行を創設し、職人を藩が統制することで、技術の発展・向上に努めたことで知られています。