アーカイブ ※この記事は2022年10月15日に発行されたものです。
富山県高岡市にある国泰寺で、新選組の近藤勇が身に着けたと伝わる甲冑が見つかったことを紹介した記事です。兜には蛇の目紋の前立、鎧の背面には旗を立てるための金具も付いています。
富山県高岡市の国泰寺で新選組の近藤勇が身に着けたと伝えられる甲冑が見つかり、四月に射水市新湊博物館で公開され、話題を呼んでいる。
兜には、蛇の目紋の前立が付き、鎧の背面には旗を立てるための金具もある。近藤勇が甲冑を着けたのは生涯に一度だったとも言われ、きわめて貴重なもの。
甲冑が発見されたのは、高岡市太田にある臨済宗国泰寺派の総本山、国泰寺。徳川家にゆかりの寺で、三代家光をはじめ歴代将軍の位牌も安置されている。
この国泰寺と近藤勇を結びつけたのは幕府に仕えた山岡鉄舟で、宝物台帳に、近藤勇の遺品としてこの甲冑を奉納したと書かれているという。
鉄舟と国泰寺との関わりは深く、書を得意とした鉄舟が屛風千二百双、額一万枚を書いて資金を集め、廃仏毀釈で荒廃した寺の再建に力を尽くしたと言われている。
鉄舟は新選組の前身となった浪士組を結成し、近藤勇とも交流があったことから、明治維新直後、戊辰戦争の爪跡が残っている東京周辺では供養がしづらいということで、富山にある幕府ゆかりの寺に遺品の甲冑を奉納し近藤の供養をしたのではないかと、地元では高く評価している。
刀剣界新聞提供