入門書(基礎編)
入門書(基礎編)
著者:河内國平・真鍋昌生の「刀匠が教える 日本刀の魅力」をご紹介します。
現代の刀匠・「河内國平」(かわちくにひら)氏と「真鍋昌生」(まなべまさお)氏の共著。河内國平氏は日本を代表する刀工であり、長年不可能とされていた「映り」を再現することに成功した方として有名です。また、日本美術刀剣保存協会の最高賞「正宗賞」の他、文化庁長官賞、黄綬褒章など数多くの賞を受賞。
本書には、そんな巨匠だからこそ語られる日本刀の魅力、日本刀づくりのこだわり、日本刀の手入れ方法などがふんだんに書かれています。そして、見どころは「日本刀のできるまで」と「刀匠の仕事」。
「日本刀のできるまで」では、日本刀の原料となる玉鋼(たまはがね)の実物写真や鍛錬をしている光景の写真などが載せられており、刀匠ならではの観点の記事となっています。
文字やイラストでは分からない、現場の空気を感じることが可能。「刀匠の仕事」では、河内國平氏が仕事をしている写真とともに、数行の詩が書かれており、仕事へのこだわりや日本刀づくりへの愛を感じることができます。
「映りの追及」では、前述の正宗賞受賞作品の写真も掲載されています。また、河内刀匠と関係の深い方達によるエッセイ、「日本刀と刀匠の魅力」の項も興味深い内容です。
さらに、河内氏の奥様のエッセイも載せられており、「河内國平」と言う人物像がまた違った形で浮かび上ってきます。
巻末には刀剣を鑑賞できる全国の美術館・博物館の一覧が掲載されているのも、日本刀ファンにはうれしいポイント。2003年(平成15年)に初版が発行され、それ以降何度も増刷されている名著です。実際に日本刀づくりに携わっている方ならではの内容ばかりで、日本刀初心者から目の肥えた上級者まで、日本刀ファンの必読書と言えるでしょう。