入門書(基礎編)
入門書(基礎編)
著者:杉浦良幸の「日本刀物語」をご紹介します。
著者は「杉浦良幸」(すぎうらよしゆき)氏。日本刀研究家でもある杉浦良幸氏は、本書以外にも「日本刀ガイドブック」「日本刀・刀装辞典」など数多くの書籍を執筆しており、2003年に名古屋刀剣研究会を設立するなど日本刀文化継承にも貢献している方です。そんな著者だからこそ書ける内容がたくさん詰まっている1冊。
前半部では、神話に登場する日本刀の話、源平時代に伝説になった日本刀の話など、日本刀が登場する様々なエピソードが紹介されます。
「武将と日本刀」の章では愛刀家で知られる「豊臣秀吉」(とよとみひでよし)の他、「伊達政宗」(だてまさむね)、「加藤清正」など名立たる武将達と日本刀の逸話が語られています。また、「宮本武蔵」や「佐々木小次郎」といった剣豪や新選組のエピソードも豊富です。
「刀の勉強方法」の章も本書ならでは。このなかで刀の勉強方法のひとつである「入札鑑定」について語られます。著者自身が入札鑑定の講師として実際に活動しているため、ひとつひとつの説明がとても平易です。
師匠からの「刀の勉強は何回恥をかいたかが勝負だよ」という言葉など、それぞれのエピソード・言葉に現実味があり、読んでいて非常に納得することでしょう。
「本格的に日本刀の勉強をしたい」「そろそろ勉強会に参加してみたい」という方にとっては、この部分を読むためだけでも本書を買う価値があるはずです。「賢いコレクターになるには」の項では、著者が出会ってきた様々なコレクターを紹介。返品ばかりする人、値切り好きな人、見せたがり屋な人などタイプ別に紹介されています。
本書では日本刀の情報をただ紹介するのではなく、歴史的逸話や著者の体験を通じて日本刀を解説。実用書としての側面ももちろんありますが、読み物としても大変楽しめる本になっています。