本刀を制作した「尾川兼國」(おがわかねくに)は、1953年(昭和28年)生まれ。
父「尾川兼圀」(おがわかねくに)とは異字同音で、まるで波濤のように華やかな「濤瀾刃」(とうらんば)の刃文を得意とし、親子鷹として活躍しました。父・尾川兼圀は、2006年(平成18年)に無鑑査に認定されましたが、2012年(平成24年)に死去。尾川兼國は2009年(平成21年)に無鑑査認定を受け、二代に渡り、高い評価を得ています。
本刀は、多度大社(三重県桑名市)への奉納刀。地鉄(じがね)は小板目肌で良く詰み、直刃(すぐは)で小沸(こにえ)よく付き、匂口明るく冴えた逸品。平成己亥年(平成31年)春という、元号が令和に変わる直前に銘が切られた、貴重な1振です。