目貫
昭和時代
そうかくず(わりたんざくめい)みつゆきさくほうちょうこれをしるす のぶあきさく めぬき 双鶴図(割短冊銘)光行作倣彫誌之 信明作 目貫/ホームメイト

本目貫は、仲睦まじい2羽の鶴が、たいへん美しい目貫。鶴の姿は精工で、毛彫を配し、量感豊かに作り込まれています。
首、足、くちばしが長く、端正で高貴な印象がある「鶴」は、仙禽(せんきん:仙界にいる霊鳥)と崇められてきました。
昔から、鶴が舞い降りると良いことが起き、鶴の夢を見ると長生きできると言われますが、特に双鶴図は、鶴が生涯1羽としかつがいにならないという特性から、幸せな結婚を願う縁起が良い図柄として好まれています。
本目貫は、江戸時代中期に活躍した装剣金工「菊岡光行」(きくおかみつゆき)の目貫を、「宮田信明」(みやたのぶあき)が模した1具。
菊岡光行は、装剣金工・菊岡派を創始し、力強く精美な作風が特徴でした。
宮田信明は、1888年(明治21年)生まれの昭和時代に活躍した金工で、古作の名品の補修や模倣を数多く手掛けた人物。特に「腰元彫り」という、腰まわりに使う目貫・小柄(こづか)といった刀装具(とうそうぐ)や、煙草入などの金工が得意で、昭和時代最後の良工と呼ばれました。