鞍(くら)
江戸時代 後期
もくじきんまきえぐんかくもんうみありくら 木地金蒔絵群鶴文海有鞍/ホームメイト

本鞍には、「花押」と「文政八歳 酉四月吉日」の墨書銘があります。
「前輪」(まえわ)と「後輪」(しずわ)の制作には、素木(そぼく:着色などをしない木)が用いられ、それぞれの外側には5羽の群れで飛ぶ鶴が「高蒔絵」(下地塗りした漆の上に高蒔漆を肉盛り[ししもり]して、漆下地の上に漆で絵を描き、そこに蒔絵粉を蒔いて乾燥したあと透明な漆を塗って固める蒔絵の手法)で表現され、「雉股」(きじまた)部分には葦の蒔絵で装飾。乗り手が腰を下ろす「居木」(いぎ)も素木地です。
本鞍の重量は2,150g。「四方手」(しおで:鞍の前輪と「後輪」の左右の4ヵ所に付けた金物の輪で「胸繋」[むながい:「鞍橋」 (くらぼね) を固定するため、馬の胸から前輪 の四方手につなぐ緒]、「尻繋」[しりがい:鞍橋を固定するために、馬の尾の下から後輪の四方手につなぐ緒]を留めるための部品)の金物は、4個すべて残存しています。