指物
未査定
こうはくだんだん みつぼしいちもじもんばた 紅白段々 三星一文字紋旗/ホームメイト

本旗は、背中に差し立てた旗指物と推測されます。材質は、生糸のように張りがある平絹。
一幅(ひとの)の旗で、片側に袋縫い(旗を固定するために縁を筒状に縫製すること)を施し、反対側は無加工です。上下の端部には、3つ折り縫いが施されています。
また、袋縫いが施されている側の上下隅に付けられているのは、補強のための白い「韋」(なめしがわ:加工しやすいように処理を施した動物の皮)。下部の韋には、韋で作られた紐が設けられています。
上部から下部へ向けて、朱色、白地、朱色の順に塗り分けられており、旗の下部に大きく描かれているのは「三星一文字紋」。
三星一文字紋は、月や星などをかたどった「月星紋」(つきほしもん)の一種。月星紋は主に、東北を中心に東日本で広く使用されました。江戸時代には、大名家や幕臣など合わせて200以上の家で家紋として使用されています。
三星一文字紋に描かれる3つの丸が示しているのは、「将軍星」というオリオン座の中央にある3つの星のこと。それぞれ「大将軍」、「右将軍」、「左将軍」という武神を現わしていると言われており、古くから武家で信仰されてきました。
なお、三つ星の下に「一」の字を描いた三星一文字紋は、嵯峨源氏を祖とする「渡辺氏」のみが使用した独占紋であり、別名を「渡辺星」と言います。渡辺星は、紋を丸で囲んだり、一の字の描き方を変えたり、様々な種類が存在。
本旗指物の三星一文字紋の左下には、「由佐直一郎直道」という姓名が記載されてありますが、これは所有者の名前、または制作者の名前のどちらかであると推測されます。