小旗
未査定
やまがたしゅひきりょうにとりい あいずばた 山形朱引両ニ鳥居 合図旗/ホームメイト

本旗は、合戦の際に用いる合図用の旗と推測されます。
材質は木綿。やや縦長の一幅(ひとの)の旗で、上端部に通っているのは竹の芯。下端部は、3つ折り縫いが施されており、左右の端は無加工です。
白地の上部には、黒い「山紋」(やまもん)。山紋は、大きく分けて2種の形状に分類されます。ひとつは、山容(さんよう:山の形)を描き込んだ形状。もうひとつは、線の中央部を山形に尖らせたり、丸くしたりした山形文様。
本合図旗は後者で、頂点を3つ設けることで3つの山を表現していると推測されます。
山は、古来より信仰の対象だったため、摂津国(現在の大阪府北西部、及び兵庫県南東部)麻田藩の「青木氏」や、幕臣の「吉田氏」などの大名家が家紋に山紋を用いていました。
旗の中央部には、幅の広い朱で「一つ引両紋」が引かれています。「引両紋」は、陣幕や軍旗などに用いられる紋。室町幕府将軍家の「足利氏」が用いた家紋として有名です。
旗の下部に描かれているのは、「鳥居紋」。鳥居は、神域と俗界を隔てる結界の役割を持っていますが、家紋として鳥居が用いられるようになった経緯は、明確になっていません。
一説には、神域を護持(ごじ:保守すること)するためと言う、信仰的な意味があるのではと言われています。栃木県や和歌山県で多く用いられる家紋で、幕臣では「大久保氏」や「宇津野氏」が用いていました。