未査定
たいへいきずびょうぶ 太平記図屏風 /ホームメイト

「太平記」は、後醍醐天皇(ごだいごてんのう)の即位以後、約50年の動乱を全40巻に描く軍記物語です。
北条高時(ほうじょうたかとき)の失政、後醍醐天皇の討幕、北条氏の滅亡、建武の新政(けんむのしんせい)の成立、新政の失敗、足利尊氏(あしかがたかうじ)の謀反、楠木正成(くすのきまさしげ)・新田義貞(にったよしさだ)の戦死、南北両朝の対立、足利義満(あしかがよしみつ)を補佐する細川頼之(ほそかわよりゆき)の管領(執事)就任までを記しています。作者不明で、成立年は1371年(建徳2年)が定説です。
「太平記」は室町時代頃から説教僧による語り物文芸として広まりました。
1622年(元和8年)、大運院陽翁(法華宗の僧)が注釈書「太平記評判秘伝理尽鈔」(たいへいきひょうばんひでんりじんしょう)を世に出すと、これを講釈(こうしゃく:書物の内容や意味を説明すること)の台本に使用した太平記読(たいへいきよみ:太平記講釈とも)と呼ばれる活動が盛んになり、「太平記」は広く民衆に親しまれるようになります。
本屏風は「太平記」の名場面を1扇(せん:縦長の画面。6扇つなぎ合わせた六曲屏風が屛風の基本形)に一場面、独立した図を順不同に貼った押絵貼屛風(おしえばりびょうぶ)です。六曲一双(六つ折りの屏風が左隻・右隻で1セット)の屛風には、公家の表情がいきいきと描かれ、装束には金泥を用い、山水も細かく丁寧に仕上げられています。