弓
未査定
あおがいみじんにひきりょうしげとうそばくろゆみ 青貝微塵二引両重籐側黒弓/ホームメイト

本弓は、竹と木を合わせた「合弓」(あわせゆみ)に、竹と木が外れないように「籐」(とう:ヤシ科の植物)で巻き締めた「重籐弓」(しげとうゆみ)です。
本弓の両端と側面には、黒漆に「青貝微塵塗」(あおがいみじんぬり:青貝を微細に砕いて漆で塗り込める変塗[かわりぬり]の技法)が施されており、角度によってはキラキラと輝いているように見え、大変美しい出来になっています。
青貝微塵塗は本来、日本刀の「拵」(こしらえ:刀身を入れる鞘)によく用いられる技法で、本弓のように青貝微塵塗が施されている弓は非常に珍しいです。そもそも弓は、木や竹などの自然素材が主流であり、防虫や腐敗防止に漆などの加工を施さなければ傷んでしまうため、史料として現代まで残っている弓は多くありません。というのも、実戦で使用する弓は、表面を削ることで形や強度を使用者の好みに合わせて調整しており、表面に漆などの加工が施されなかったためです。
本弓の名称にある「二引両」(にひきりょう)は、家紋の図案のひとつで、その線の数によって「二つ引両」や「三つ引両」と呼ばれていました。本弓の各節の部分に巻かれた籐が、それぞれ2本連続して上下に巻かれているため、この名称が付けられたと言われています。