硯箱
江戸時代
しょうしょうはっけいずまきえすずりばこ 瀟湘八景図蒔絵硯箱/ホームメイト

本硯箱には、中国の山水画の有名な画題である「瀟湘八景図」(しょうしょうはっけいず)が巧みな蒔絵技法を用いて描かれています。
瀟湘八景図は、豊かな自然を表現することを意図とした図。鎌倉時代に禅僧達によって受け入れられると、室町時代には、山水画の画題としてもてはやされ、狩野派の画家が好んで描いたと言われています。こうして瀟湘八景図は、日本においても伝統的な画題となり、「近江八景」や「金沢八景」などの由来となったのです。蓋表には、「銀蒔絵」で描かれた湖上に浮かぶ月明かりが、山に降り積もった雪を照らす様子や、山あいの寺の鐘が鳴り響く様子が情緒的に描写。また、蓋裏も「金梨地」で入念に制作されており、帰路を急ぐ人の様子を細やかに描写されています。
墨を研ぐための水を入れる「水滴」(すいてき)は、「四分一」(しぶいち:銀と銅の合金)地に「根引松」(ねびきまつ)と「梅花」が「毛彫り」の技法で彫刻された美術品です。