入門書(上級編)
入門書(上級編)
著者:常石英明の「刀剣の特徴と系統 知るほど日本刀」をご紹介します。
著者の「常石英明」氏は、「本阿彌光遜」(ほんあみこうそん)氏に師事し、当時の東京世田谷美術同好会幹事、四谷刀剣研究会及び世田谷日本刀剣研究会などの幹事を務めながら、刀剣、古陶磁、古書画等の研究も重ねた人物です。
若い頃より古陶磁を学び、刀剣のみならず、陶磁器、古書画など美術工芸品全般に通じ、幅広い見識を持つ氏ならではの視点で「刀剣の鑑定」に主眼を置いた解説がなされているのが本書の特長。
第1部「日本刀の歴史」では、直刀時代から新刀時代までの刀剣の変遷が記されるとともに、「時代の流れと作風」などについても詳しく記され、各時代の特徴と魅力を理解し、鑑賞眼を鍛える手引きとしても重宝します。第2部「日本刀鑑定の基礎知識」では、各部の詳細を具体的に分かりやすく解説。第3部「日本刀の鑑定」では、五箇伝や古刀と新刀の相違などについてもふれ、さらに知識を深められます。
本書は、全国刀剣の特徴と系統、日本刀鑑定の基礎知識が分かる刀剣美術入門の決定版と言えるでしょう。
本書のなかでも特に注目すべきは第4部「全国刀工の特徴と系統」です。各地で活躍した刀工が系統別に分類され、刀工の系図などと共に紹介。それぞれの地域には活躍した武将ゆかりの名刀があり、高度な軍事技術を持つ刀工は極めて特異な存在だったことを窺い知ることが可能です。
「初心者の入門にはじまり、柔剣道で言えば初段程度の実力を目標として刀剣鑑定に必要な基礎知識をほとんど網羅しました」と著者自身が語っているように、豊富な写真と相まって刀剣鑑定の基礎知識が網羅できます。
同じく常石英明氏の著書に「日本刀の歴史 古刀編」と「日本刀の歴史 新刀編」(いずれも金園社)が刊行されており、さらに常石英明氏の著作を楽しみたい、知識を深めたい方にはおすすめです。