本旗は、具足の背中に差し立てた旗指物です。材質は、生糸のように繊維が硬い平絹。
生地を2枚繋ぎ合わせた二幅(ふたの:並幅[約36㎝]の2倍の大きさ)の旗で、左側と上端部に袋縫い(旗を固定するために縁を筒状に縫製すること)、右側と下端部に三つ折り縫いが施されています。
袋縫いが施されている3つの隅に設けられているのは、補強のための薫韋(ふすべなめし:加工しやすいように処理を施した動物の皮にいぶしをかけること)。
白地に大きく墨書きされているのは「南合彦左衛門」。わずかな欠損はありますが、指物旗としては古い遺例と推測されるため、貴重な史料と言えます。