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江戸時代
みとみつくに いちぎょうしょそうふく 水戸光圀 一行書双幅 /ホームメイト

本掛け軸は、徳川御三家の常陸国(現在の茨城県)水戸藩2代藩主の「水戸光圀」(みとみつくに)の書いた一行書双幅です。
一行で書かれた墨書(ぼくしょ)のことを「一行書」と言い、漢字の4文字から7文字で構成されます。「双幅」とは、2つで1組という意味です。
書かれている詩は、中国・唐時代の詩人「李嶠」(りきょう)が題した「鳳」(ほう)という詩をもとにしています。李嶠は五言律詩(ごごんりっし:1句5字で全8句からなる近体詩)に優れ、宮廷詩人として名を馳せた人物。
平安時代初期に李嶠作の詩集「李嶠雑詠」(りきょうざつえい)が日本へ伝わり、「嵯峨天皇」(さがてんのう:平安時代の天皇で、優れた書の腕前を持っていた)が書に現わしたことでも有名です。
水戸光圀は、1628年(寛永5年)、水戸藩初代藩主の「徳川頼房」(とくがわよりふさ)の3男として誕生。父・徳川頼房は、「徳川家康」の11男であることから、水戸光圀は徳川家康の孫になります。
水戸光圀は、儒学を推奨し、殉死の禁止など、水戸藩の基礎を作り上げた人物です。「大日本史」の編纂や、文化財の保存活動など、藩政事業を成功させ、徳川本家の幕政にも多大な影響を及ぼしました。
テレビドラマ「水戸黄門」では、諸国漫遊する場面が描かれますが、実際の水戸光圀は、諸国を旅した記録は残っていません。大日本史の資料集めに家臣達を各地に派遣、隠居後の藩内巡視から、そのような逸話が残ったのだと考えられます。
水戸光圀の藩政を整える手腕などから、正確性の高い筆致が窺える一書。また、鷹揚な筆運びが大胆に表現されています。
