-
江戸時代
ふじわらひろまさ ひつ「むしゃかっせんず」 藤原廣當 筆「武者合戦図」 /ホームメイト

落馬した武将が、馬上の武将に金砕棒(かなさいぼう)で懸命に立ち向かうものの、大太刀で兜の吹返(ふきかえし)を切り裂かれ、首に致命傷を負う瞬間を描いた大和絵です。
いつの時代の、誰と誰との戦いを描いた作品かは不明ですが、戦の熾烈さを緊迫感のあるタッチで再現しています。大和絵の伝統に則り、本顔料で人物の表情や大鎧が細かく描き込まれているのが特徴です。
この絵の作者である藤原廣當(ふじわらひろまさ)は、板谷慶舟(いたやけいしゅう)の名で知られる江戸幕府の御用絵師です。そのなかでもっとも格式の高い「奥絵師」と呼ばれる身分にあり、将軍にも直接拝謁できる権利を持っていたとされています。
1729年(享保14年)に生まれ、大和絵系の名門として知られる住吉派の住吉広守(すみよしひろもり)に師事。1777年(安永6年)の住吉広守没後、一時は住吉家を継いだものの、のちに長男の住吉広行に住吉家を継がせ、自身は板谷姓に。剃髪して慶舟(のちに桂舟)と名を改めました。
本作は1797年(寛政9年)に亡くなった藤原廣當の絶筆とされており、彩色と鮮麗さに優れた作品に仕上がっています。落款(らっかん)には晩年の桂舟の号と藤原廣當の名が刻まれていることが分かります。
