矢籠・矢屏風・弓具
江戸時代
うつぼ・うつぼだいぐみ 空穂・空穂台組/ホームメイト

「空穂」(うつぼ)とは、合戦や狩猟を行う際、空洞である内部に矢を収納し、携帯するために用いられていた筒型の道具です。
空穂に矢を入れておくことで、雨露に濡れたり、物に当たって破損したりすることを防いでおり、室町時代以降の武士達が盛んに使用したことでも知られています。また空穂台は、空穂と弓を一緒に運ぶために使われていました。
本空穂と空穂台で特に目を引くのが、黒地に金色で配された「丸に変り切竹クルス紋」の意匠です。「クルス紋」とは、十字型の紋章のこと。その形状がキリスト教の十字架にも通ずることから、本空穂と空穂台の制作者、または所有者がキリシタンであったと推測できます。空穂と空穂台が、両方揃って現存していることは非常に珍しく、大変貴重な道具であると言えます。