蒔絵箱
未査定
くろうるしぬりぼたんからくさまきえばこ 黒漆塗牡丹唐草蒔絵箱/ホームメイト

本箱は、黒漆塗の上に「牡丹唐草」文様の蒔絵が見事に施された、文箱(ふばこ:書状を入れて運び届ける入れ物)です。
江戸時代の大名階級では、「厨子棚」(ずしだな:化粧道具や書道道具を入れる棚)、「黒棚」(くろだな:櫛や香具を入れる棚)、「書棚」(書物を置く棚)が、花嫁の3大婚礼道具とされ、文箱は書棚に収める箱として欠かせない付属品とされました。
「牡丹唐草」文様は、中国の盛唐時代(715~765年)に花牡丹の観賞が好まれたことで完成した文様で、日本でも有職文様(ゆうそくもんよう:平安時代から公家階級で使用された伝統的な文様)のひとつとされています。
牡丹の花びらや唐草模様をよく見ると、「沃懸地」(いかけじ)という金の鑢粉(やすりふん)を蒔く技法が施され、また中面にも沃懸地仕上げが施されたたいへん手の込んだ逸品。身分が高い女性の所持品であったと思われます。