本甲冑(鎧兜)は、「童具足」(わらべぐそく)という、子供用の甲冑(鎧兜)です。
通常童具足は、生まれたばかりの子供の産衣鎧(うぶぎよろい)や、鎧着初め、元服の際に用いられるのが一般的。本甲冑(鎧兜)は、6歳ほどの子供が着用できるくらいの大きさで、鎧着初めや、元服の儀のために制作されたことが推察されます。
「当世具足」の形式を取っている本甲冑(鎧兜)は、鉄黒漆塗突盃形兜(てつくろうるしぬりとっぱいなりかぶと)と鉄黒漆塗二枚胴の他に、鉄製の籠手(こて)と臑当(すねあて)、練革製の袖と佩楯(はいだて)、さらに鉄黒漆塗烈勢面(てつくろうるしぬりれっせいめん)の面頬(めんぽう)が附属。兜の吹返(ふきかえし)には高取藩植村家の家紋が入れられています。
本甲冑(鎧兜)は、大人が合戦に用いる物と同じか、それ以上に入念に仕立ててある1領です。萌葱色の縅毛(おどしげ)や、金で装飾された色合いは、華やかで若々しさを感じさせます。