七五三という特別な日だけは、わが子に精一杯のおしゃれをさせてあげたいのが親心。しかし、和装を新たにあつらえる場合は、半年から1年くらい前には準備する必要があり、バッグや履物、髪飾りなどの小物類も、10月中には揃えておかなければなりません。また和装を一式揃えるとなると数十万円はかかりますが、一度しか袖を通さないケースが多く、保管の手間もかかり、しかも子どもは成長が早いため、すぐにサイズが合わなくなるという問題も。 そんなとき頼りになるのがレンタル衣装です。購入する場合に比べて費用が抑えられるうえ、デザインやサイズも豊富。宅配サービスを利用すれば全国どこからでもレンタルできますし、実店舗に出向けば試着ができます。そこで、和装のレンタルショップを賢く利用するために知っておくと有益なチェックポイントをご紹介しましょう。
3歳には被布がお似合い
いざ選ぼうと思っても、たくさんの着物を見ると迷ってしまいますが、レンタル店で着物を選ぶときに最も気を付けなくてはならないのは、窮屈でなく動きやすいこと。また初めて着物を着る子どもには、できるだけ軽めの素材で苦しくならないよう配慮してあげましょう。
3歳の女の子は、晴れ着の上に被布(ひふ)と呼ばれる防寒用の袖なし上着を重ねるスタイルが主流です。これがあれば寒さよけになる上、重い帯を締めなくて良いというメリットもあります。
被布も軽くて動きやすい物を選ぶと良いでしょう。経験豊富なスタッフと相談しながら、体型や好みに合わせた可愛らしいコーディネイトをしてあげて下さい。
レンタルショップには、現代的なデザインから伝統柄まで、様々な着物が揃っています。いつの時代も人気の花模様は、牡丹・橘・しだれ桜・梅・椿といった古典的な柄だけでなく、チューリップ・パンジー・ガーベラなどの洋花まで実に多彩。また、伝統柄で青海波(せいがいは)と呼ばれる波模様は、古くはササン朝ペルシャから伝わった文様で、東西の文化が着物の上で交流しているのは興味深いことです。
そして、これも伝統柄のひとつ、市松模様は古墳時代の埴輪の服装にも見られるほど歴史があり、近年はアニメの主人公が身に着けていることで人気を集めています。
伝統的な柄の場合も、水色・黄色・オレンジ・ピンク・赤など、子どもの可愛らしさを引き立てる明るい色を選びましょう。
色については子どもの好みで選んであげるのが基本ですが、色のルーツに注目し、そこに家族の思いを託すこともできます。例えば、昔の人は女児よりも男児の方が魔物に狙われやすいと考え、魔物の目をあざむくために女児と思われそうな赤い着物を男児に着せることがありました。
そうした歴史を踏まえて、男の子の衣装に赤色を取り入れてあげてはどうでしょう。また、色だけでなく、伝統的な柄にも由来のあるものが多く、例えば丸く可愛らしい鈴の文様には、鈴の音が神様を招き、邪気を払うという謂れがあります。
年齢ごとの装いを
レンタルショップには、宅配専門店と実店舗があり、それぞれのメリットを知り、使い勝手の良い方を選んで下さい。
価格については、宅配と実店舗で大きな違いはなく、着物・帯・被布・半衿付長襦袢・足袋・髪飾り・バッグ・草履など(男の子は袴や短剣なども)のフルセットで、合成繊維は5,000~25,000円くらい、「正絹」(しょうけん:絹100%の生地)なら30,000~120,000円くらいが相場です。
いずれも価格帯にかなり幅があり、一般的に3歳、5歳、7歳と年齢が上がるほど価格も上がる傾向があります。サービス面は各社がそれぞれの特色を打ち出しており、レンタル期間が長い、店舗で試着できる、早割を設定している、着付けサービスやヘアメイクを行っている、出張着付けや宅配を行っている、などがありますのでホームページを見てじっくり検討しましょう。
また、着物レンタルサービスの多くは着用後のクリーニング不要で、そのまま返却できます。なお11月が近づくとレンタルショップは混み合うことが予想されるため、早めに準備しておくのが賢明です。
豊富な品揃えとサービスが評判のおすすめレンタルショップをご紹介します。1941年創業の老舗「和楽庵」(わらくあん)は、安心フルセットの宅配専門店で、七五三の着物レンタル料金は一律税込10,780円と大変リーズナブルです。足袋のプレゼント付きで、ショールや髪飾りなどはオプションで別途レンタルも可能。レンタル期間は着用日の3日前から着用後2日以内までゆったり5泊6日で、送料は無料です。父親や母親の衣装も一緒に注文できます。早割やファミリーでのセット割特典なども用意されています。
「京都かしきもの」も同じく宅配レンタルの店。適正な価格と確かな品質、幅広いラインナップとサービスが好評です。小物類まですべて揃ったフルセットが日本全国どこでも送料無料で届き、着用日の2日前から、3泊4日レンタルできます。宅配ですから対面サービスはありませんが、専門の着物コンシェルジュが電話などできめ細かくサポートしてくれるので、家庭で着付けをしたい場合も気軽に電話で相談できます。
関東と関西を中心に全国14店舗を展開する「きものレンタルwargo」では、七五三の着物はどれも税込11,000円と利用しやすい価格設定。この価格に着物と和装小物のフルセット、店舗での着付けも含まれているので、七五三の当日は手ぶらで出かけられるのが魅力です。
また、実店舗のメリットは、実際に見て、試着して選べること。ホームページから下見の予約を入れておけば、2,000点以上ある着物の中から、サイズや好みに合った物を試着できます。帯や草履、襦袢や足袋などの小物も選べますし、あるいは、お気に入りの小物を持ち込んでも構いません。ヘアセットやメイク、写真撮影の予約にも対応しており、お参りに出かけている間は、貴重品以外の荷物を預かってもらえるのも嬉しいところです。