佐竹家の家臣「根本里行」(ねもとさとゆき)の注文により制作された槍。
根本里行は、佐竹家譜代の重臣で、1570年(永禄13年/元亀元年)8月、「下野大山田合戦」(しものおおやまだかっせん)での目覚ましい戦功により、紀伊守に任ぜられた武将です。
富士大権現(ふじだいごんげん)を信仰した根本里行は、すべての武運長久(ぶうんちょうきゅう:武人としての命運が長く続くこと)を願い、刃文は皆焼(ひたつら:刀身の刃以外の部分にも焼き入れがなされた刃文)に焼き、太樋(ふとび)中に、「富士大権現」と刻みました。富士大権現は「浅間神社」の旧称で、主祭神は「木花之佐久夜毘売命」(このはなのさくやひめのみこと)。
槍一筋に込められた武運の祈りをうかがい知ることができます。