本刀の制作者である「藤原俊光」(ふじわらとしみつ)は、1898年(明治31年)4月21日、佐賀県にあった小城郡に生まれました。旧鍋島藩の士族出身で、本名は「今泉濟」(いまいずみわたる)。
1934年(昭和9年)、36歳のとき、独自の鍛刀研究に入り研鑽を積む(けんさんをつむ:技能などを磨き深めること)と、1955年(昭和30年)、「第一回作刀技術発表会」に入選。以後、特賞3回、優秀賞6回と受賞を重ねます。1959年(昭和34年)、岡山県重要無形文化財保持者に認定。1968年(昭和43年)に「第二回吉川英治賞」を受賞し、1970年(昭和45年)には「無鑑査刀匠」に認定されました。
数々の受賞歴を誇る俊光ですが、自身が気に入らない相手からの作刀依頼は決して受けなかったと言われ、そのため著名な刀工でありながら現存する作品は希少です。また、生活に困窮することがあっても、作刀に没頭していたことも有名で、存在感のある刀工として知られています。
1995年(平成7年)8月28日逝去。享年97歳。