目貫
未査定
ほうおうず めぬき 鳳凰図 目貫/ホームメイト

本目貫の意匠として用いられている「鳳凰」(ほうおう)は、古来中国において尊ばれていた伝説上の鳥。中国神話や物語などに登場し、人生を良い方向に導くと考えられていた「霊鳥」(れいちょう)です。
「麒麟」(きりん)や「亀」、「龍」と共に、中国で霊獣視されていた鳳凰は、「梧桐」(あおぎり)の木にのみ止まり、「霊泉/醴泉」(れいせん)と呼ばれる甘い味のする泉の水だけを飲み、60~120年に一度、実を結ぶ竹の実や「甘露」(かんろ:中国の伝説で、庶民にとって恵み深い政治を、天子が施したときに降ってくると言う甘い露)だけを食物としていたと言われています。
その姿は黄金に輝き、翼は五色絢爛(ごしょくけんらん)であり、鳳凰は天地の「陰」と「陽」を一体化した存在であるとされていました。
また、中国の古い地理書である「山海経」(せんがいきょう)によれば、鳳凰の体の各部には、首に「徳」(とく)、背に「義」(ぎ)を掲げ、その胸、すなわち心に「仁」(じん)を負い、翼に「信」(しん)、足に「礼」(れい)を挟んでいたと伝えられています。
本目貫は、どの流派による作かは不明ですが、鳳凰が優雅に飛翔する神聖な姿を巧みな鏨(たがね:金属を削ったり、切断したりする際に用いる鋼鉄で作られた道具)さばきで表現しており、吉兆の願いが込められた作品です。