矢籠・矢屏風・弓具
江戸時代
しこ 矢籠(矢10本付)/ホームメイト

本弓具は「矢籠」(しこ)と呼ばれる、矢を収めるための容器です。「鏃」(やじり)を挿す本体は、表面に浮き出し模様を施して深緑色に塗った、厚手の革で作られます。表側に大きく透かされたハート形の「猪目」(いのめ)は、矢入れ口の縁とともに金箔押で縁取られ、落ち着いた緑の色合いに華やかさを添えます。
付属する十数本の矢も、丁寧に作られます。「篦」(の:軸棒、シャフトのこと)には黒漆を塗り、「羽根」(はね)にヤマドリの尾羽を用いる他、羽根を巻きとめる「末矧」(うらはぎ)と「本矧」(もとはぎ)は朱色の糸が使われ、「羽中節」(はなかぶし)には金箔が押されます。
本矢籠は日本で使われた矢入れ道具の「箙」(えびら)などよりも、モンゴルの遊牧民が用いた矢入れの形に近く、江戸時代に外国の武器へ関心を寄せた人が制作させたとも考えられます。