本甲冑(鎧兜)は、鹿児島県薩摩川内市にある「甲冑工房丸武」(かっちゅうこうぼうまるたけ)により制作されました。
全体を紺の「威毛」(おどしげ)と金の「当世小札」(とうせいこざね)で統一し、胴には唐草模様と「三つ葉葵」紋をあしらった華やかな1領ですが、特に注目していただきたいのは兜です。
この兜は、アメリカのメジャーリーグに所属するプロ野球チーム「ロサンゼルス・エンゼルス」が、ホームラン打者をたたえる「ホームラン・セレブレーション」にて2023年度から使用している物と同形です。
ホームランを打った「大谷翔平」(おおたにしょうへい)選手が、兜を被った姿でチームメイトと喜ぶ様子の写真や映像を、スポーツ報道で見たことがある方も多いでしょう。
「大谷翔平選手の兜」としてすっかり有名になったこの兜は、平安時代から鎌倉時代に流行した「星兜」(ほしかぶと)を模した「兜鉢」(かぶとばち)に、「獅子」(しし)を中央に据えた「鍬形」(くわがた)が打たれます。後頭部から首筋を覆う「錣」(しころ)の形も兜鉢に合わせて古式な物が採用され、側面の「吹返」(ふきかえし)は、大きく広がります。
なお、ホームラン・セレブレーションでこの兜を被った選手の第1号は、大谷翔平選手のチームメイトである「マイク・トラウト」(Mike Trout)選手。2023年の「ワールドベースボールクラシック」にはアメリカ代表として出場し、決勝戦では日本代表の大谷選手と対決しています。