歌舞伎の名場面・見どころ

紅葉狩り

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立廻りが見どころのひとつになっている歌舞伎演目の中から、「紅葉狩り」(もみじがり)の題材となった物語の概要、さらに立廻りの見どころをご紹介します。

紅葉の宴は、やがて鬼女退治へと

作詞 河竹黙阿弥(かわたけもくあみ)
作曲 六代目岸澤式佐(きしざわ しきさ)・鶴澤安太郎(つるさわやすたろう)・三代目杵屋正次郎(きねやしょうじろう)
振付 九代目市川團十郎(いちかわだんじゅうろう)
初演 1887年(明治20年)10月

「紅葉狩り」は、明治の中頃に歌舞伎演目として誕生した、歌舞伎演目としては比較的新しい部類に入る物です。「義太夫」(ぎだゆう)、「長唄」(ながうた)、「常磐津」(ときわず)という三方掛合(さんぽうかけあい)の伴奏によって演じられる「歌舞伎舞踊」と言われる舞踊劇です。

平維茂(たいらのこれもち)による信州の戸隠山(とがくしやま)の鬼女退治を描いた同名の能の作品から歌舞伎化されています。

三方掛合とは?

歌舞伎の舞台において、舞踊の伴奏が2つ以上あり、それぞれ順番、または交互に演奏することを掛合(かけあい)と言います。例えば、長唄と義太夫、長唄と常磐津、あるいは長唄と清元といった具合です。紅葉狩は、それを義太夫(竹本)、長唄、常磐津の三方掛合という珍しい演奏方法を取っている点が大きな特徴です。

2枚の扇を曲芸のように扱う二枚扇が見どころ

二枚扇

二枚扇

信州・戸隠山へ2人の従者とともに紅葉狩りに訪れた平維茂(たいら の これもち)は、更科姫(さらしなひめ)という身分の高そうな姫と侍女達に出会います。三方掛合のもと、更科姫が2枚の扇を曲芸のように扱う「二枚扇」(にまいおうぎ)が前半の見どころです。これは九代目市川団十郎の振り付けで、姫役の踊りとしては大胆な振りとして知られています。

舞も酒も素晴らしく、美男美女の和やかな宴が繰り広げられる中、酔いつぶれてしまう維茂。いつの間にか、更科姫の姿もなく…

目を覚ますと、美しい姫は一転…

小烏丸

小烏丸

眠りこんでしまった維茂を起こそうとする山神(やまがみ)。「山奥には鬼神がおり、こんなところで寝ていては、命は風前の灯同然」と杖を使い何とか起こそうとしますが、全く起きない維茂。ここも山神の踊りによって表現されています。

やがて眼を覚ました維茂は、更科姫の姿がないことを怪しみ、さては鬼女に違いないと気付きます。そして山の中へ自ら探しに出向くのです。維茂に追われて出てきたのは、すさまじい形相の鬼女。

ここから、維茂と鬼女との大立廻りが始まります。維茂が鬼女退治に手に取ったのは、平家に伝わる名刀「小烏丸」(こがらすまる)。その名刀の力で鬼女を追い詰めていきます。

女方の艶やかな踊りを堪能したあとにダイナミックな立廻りへ

紅葉狩りの前半の見せ場は、一面の紅葉をバックに、2枚の扇を使った女方が演じる更科姫の美しい踊り。その踊りが艶やかであればある程、後半に更科姫が鬼女の本性を現し、同じ女形が演じているとは思えない程の迫力ある立廻りの舞いに観客は釘付けに。

その変化の大きさを味わえるのも紅葉狩りの大きな魅力です。

紅葉狩り

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