日本刀を所有する

日本刀のオークション

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日本刀を入手したり、手放そうと思ったりした際、刀剣商で買い取りや売却を行うのが一般的。しかし、なかにはオークションでの購入や売却を考える人が増えてきています。その場合、どこで日本刀オークションが開催されるのか、ネットオークションは信用できるものなのかなど、疑問に思う人もいるでしょう。ここでは、日本刀のオークションについて解説します。さらに、オークションを運営する「カーム株式会社」(愛知県名古屋市)にインタビューを行い、日本刀のオークションがどのようなものなのか、流れやその様子を伺いました。

日本刀のオークションとは

日本刀専門のオークション

東京美術倶楽部

東京美術倶楽部

「刀剣交換会」とも呼ばれている日本刀オークションは、刀剣商や古物商など、専門業者の人達が売買する場です。

刀剣交換会は、「美術倶楽部」という組織が運営しており、東京をはじめ、名古屋、大坂、京都、金沢の5都市を中心に定期的に開催。美術倶楽部が運営するオークションには、日本刀以外にも、絵画や書道、茶道具、浮世絵など、各分野に分かれて美術品が出品されています。

特に「東京美術倶楽部」が開催する「全国美術刀剣会」は、刀剣交換会のなかで最も歴史のある、日本刀オークション最大の市場です。

しかし、この日本刀専門のオークションに参加をするには「古物商許可証」が必要となるため、一般の人の参加は認められていません。日本刀専門のオークションに一般の人が出品・落札をしたいと考える場合、古物商や刀剣商など、オークションに参加する専門の業者に委託をする必要があります。

ネットオークション

日本刀オークションには、古物商許可証がない一般人の参加はできませんが、ネットオークションであれば直接参入することが可能です。実際、インターネットが普及した現在、日本刀の購入・売却の場としてネットオークションを利用する人達も増えています。

初心者がネットオークションに参加する場合は、信頼のおける刀剣販売・日本刀販売の専門業者が行っているネットオークションがおすすめ。

なぜなら、個人で行うオークションでは、落札する場合にネット上では直接状態や真贋の鑑定ができないどころか、日本刀を売買する際に必要な「銃砲刀剣類登録証」がない場合もあるためです。

出品する場合も、すべて自分で行うことになるので説明が難しく、鑑定を受けておらず、価値が理解できていない場合には、買いたたかれてしまう可能性もあります。そのため、個人のネットオークションに参加する際は、落札する場合、信頼できる人であることを確認しましょう。また、出品する場合には、日本刀の鑑定を受けた上で最低金額を決定することが必要です。

美術品入札会

一般の人が参加できる日本刀のオークションのひとつとして、カタログ入札形式があります。このオークションへの参加は誰でもできるようになっており、カタログを注文するとカタログと一緒に入札用紙が届き、欲しい商品を記入、入札することができるのです。

もちろん、カタログだけでなく、出品される美術品を直接目で観て判断できる「下見会」が設定されています。下見会に参加できない場合でも、希望者は詳細画像や状態の細かいレポートを得ることが可能。入札の際には、入札した金額が相手に分からないようなシステムになっていることから、自分に無理のない範囲での入札ができます。主催側がきちんと鑑定した美術品のみしか出品されないため、初心者にもおすすめのオークション形式です。

また、出品に関しても、買取業者の仲介が入らないことから、市場価値で美術品を売却することが可能。鑑定をきちんと受けることができ、最低落札金額も設定できるため、安心して出品することができます。

カーム株式会社にインタビュー

現在、東京を中心に行われるいくつかの美術品オークションを除いて、日本刀が出品されるオークションに一般の人が参加をすることはできなくなっています。

ここでは、普段は知ることができない、業者専門のオークションが一体どのようなものなのか、オークションを運営する「カーム株式会社」(愛知県名古屋市)にインタビューを行い、日本刀を含む美術品が出品されるオークションの流れや様子、出品の方法などを伺いました。

日本刀オークションの様子

カーム株式会社で2ヵ月に1度、2日にわたり開催される美術品のオークションは、いわゆる「イングリッシュ・オークション」という、入札する人が互いに声を出し合い、値段を引き上げながら行う形式のオークションです。

通常、一般の人達が参加をするオークションは、パドルと呼ばれる番号札を上げ、オークショニア(オークションを開催し、運営する人)による声掛けと共に落札が決定されます。しかし、専門の業者が集まるオークションはどのようなものなのでしょうか。

「一般のオークションはきっちり座って、整然としている感じですよね。しかし、ここのオークションは魚市場の競りのようにスピード感あふれるもの。2日間のオークションには200社ほどの業者が参加しますが、パドルを上げる形式ではなく、業者の声が次々に飛び交い、ものすごい勢いで値段が上げられていき、落札される形式です。1時間におよそ250~300点が競りに掛けられ、2日間に4,000点ほどの美術品が出品されます」

活気あるオークションの様子は、慣れた専門家達が集う業者オークションならではの特徴ですが、とてつもない速さで行われるため、注意深く目当ての商品を狙っていないといけません。

また、カーム株式会社では、オークションを運営するのは美術品の鑑定士達。そのため、鑑定の専門家ならではの大変興味深いお話も聞くことができました。

「多くの業者が集まるオークションには、本物も偽物もなんでも出品されてきます。目利きの人が集まっているので、自分で鑑定して、真贋を見極めなければいけません。偽物を落札したとしても、それは自己責任になるのです」

もちろん、一般の人が参入するオークションでは、鑑定士によって厳しい審査が行われた物しか出品されません。しかし、業者のみのオークションでは、真贋入り混ざって出品されます。また逆に、オークショニアが良品だと判断した物が全く売れないときもあるそうです。

なお、業者オークションは通常、落札も番号ではなく業者の名前で行われることから、参加をする業者は競っている人を見て、美術品が信頼できる物なのか見抜くこともあると言います。

日本刀オークションの流れ

2日間行われるオークションに備えて、事前に内覧会が行われます。この内覧会では、参加をする業者が約4,000点もの美術品のなかから注目する品物を選び、鑑定してオークション当日に備えるのです。品物には出品する業者の名前と番号が振られており、当日の何時ごろに出品されるのかが分かるようになっています。

当日は、美術品が棚に陳列され、オークション会場へ順番に運ばれていき、業者は注目した商品が出品される時間に近付いたら会場へ向かうのです。なおその際、品物は「ボテ」と呼ばれる竹籠に入れられて運ばれ、競りが開始します。

オークショニアは、出品される美術品が「このくらいで売れるだろう」という予想をあらかじめ立てており、皆が声を出しやすいように、始めの価格を宣言。このように、予想を立てて始めの価格を設定することを「ホック」と言います。

例えば、オークショニアが300万円で落札されるだろうと予想を立てた場合、10,000円からはじめると長時間かかってしまうため、100万円程度から入札を開始させるのです。落札後は、落札者が商品を梱包して持ち帰ります。

日本刀の出品

日本刀が出品されるオークションに古物商許可証を持たない一般人が日本刀を出品したい場合、刀剣商や古物商など、専門の業者に委託をしなければいけません。

オークション委託の流れとして、まずは鑑定士や日本刀専門の業者に鑑定を受けましょう。鑑定を受けることで、おおよその相場が分かるため、落札される際の最低金額を委託する業者と決めることができます。設定した最低金額以上で日本刀が落札された場合は、出品者は手数料を委託した業者に支払い、日本刀は落札した業者の手に渡ります。

一方、最低金額に届かなかった場合は、落札をさせず売却を見送ることもできるのです。時間を空けて再出品することもできますが、すぐに売却したい場合は、刀剣商や古物商に買い取ってもらうこともできます。

オークションを運営するカーム株式会社は、日本刀や美術品買い取りの他、オークションへの出品委託も受け付けています。カーム株式会社が委託された日本刀を出品する際に、気を付けていることを教えて頂きました。

銃砲刀剣類登録証

銃砲刀剣類登録証

「日本刀を出品する際に最も気を付けていることは、まず入手、もしくは委託された際に銃砲刀剣類登録証を確認すること。少しでも間違いがあれば大変なので、登録されている都道府県の教育委員会に連絡をして、間違いがないか確認をしなければいけません」

実際に、附属の銃砲刀剣類登録証の寸法が違っている場合も珍しくないため、入手した際の確認は必須であると言えます。刀剣商・古物商も確認を行っていますが、手に入れた、もしくは手放したいときにも、登録されている教育委員会等へ連絡し、登録証の確認を行うと良いでしょう。

オークションのメリットとデメリット

大切な日本刀を出品したいと考えるとき、オークションのメリットやデメリットも気になるところです。日本刀をオークションに出品する際のメリット・デメリットは、どのようなところにあるのでしょうか。

「オークションのメリットは、多くの専門家に、同時に日本刀を観てもらえることです。セカンドオピニオンを取ろうと、1ヵ所だけでなく複数の古物商や刀剣商を回る人も少なくありませんが、オークションでは専門家200人の目で観てもらうことができます。信頼できる多くの専門家に目利きをしてもらえるので、オークションで落札された金額が、買ったときの値段に比べて安くても高くても、落札金額が現在の相場。基準であることが分かるのです」

少しでも高く、正しい価値で売りたいと考えている人にはオークションがおすすめ。ですが、オークションに出品する際には、当然デメリットもあるのです。

「オークションというのは、参加者の雰囲気や盛り上がりにも左右されます。現代絵画など、明治時代以降の美術品には鑑定機関があり、基準がしっかりとある。しかし、日本刀などの古美術品には鑑定機関が定められていない物が多いため、参加者の目利きにのみ頼られます。そのため、悪いのでは、と思う物が高く売れたり、すごく良い物が売れ残ったりするのです」

また同時に、オークションに出品して落札された金額が、買取店に売却した際の値段とさほど変わらないことがあることもデメリットに挙げられます。手数料などを考えると逆に損をしてしまう可能性があるため、信頼できる刀剣商・古物商にオークションを委託し、最低金額をきちんと相談し合って決めましょう。

カーム株式会社

カーム株式会社とは

カーム株式会社は、「開運!なんでも鑑定団」のTVCMで知られる美術商です。日本刀をはじめ、茶道具や書画、絵画、浮世絵などの幅広い美術品を取り扱っており、業者向けのオークションの運営以外にも、一般の人に向けての買い取りや質預かりなども請け負っているオールマイティな会社。オークションの運営は美術倶楽部に所属した信頼のおける鑑定士によって行われています。

そんな目利きの専門家であるカーム株式会社の鑑定士は、どのようなポイントで品物の良し悪しを見分けるのでしょうか。美術品の価値を見定める目利きの力と、どのように美術品の価値を後世に伝えるのかを伺いました。

「鑑定のポイントがある物はいいですが、ない物も多くあります。観る目を養うためには本物を多く観て、目を慣れさせることが大切。いつも価値のある良い物を観ていると、偽物が現れたときに、違和感を覚えるようになるのです。日本刀の銘でも、彫の具合にも、必ず作者の癖や特徴というものがあります。なので、私達は良い物をたくさん観ることで目を養っていくのです」

刀剣商情報

刀剣商名
(美術品買取店)
カーム株式会社
所在地 〒460-0008
愛知県名古屋市中区栄3丁目35番44号
カームアートビル2F
電話番号 TEL:052-252-7777
FAX:052-259-7272
フリーダイヤル:0120-69-9911
交通アクセス 「名古屋地下鉄名城線 矢場町駅
4番出口より徒歩8分
「名古屋地下鉄鶴舞線 大須観音駅
2番出口より徒歩約10分
「名古屋地下鉄東山線・鶴舞線 伏見駅
5番出口より徒歩約14分
「名古屋地下鉄名城線・東山線 栄駅
より徒歩約15分
駐車場 25台あり
営業時間 9~18時
定休日 不定休
公式サイト https://www.kahm-art.co.jp/

まとめ

日本刀のオークションは現在、一般の人が参加できないシステムです。日本刀をオークションに出品したいと思った際には、刀剣商や古物商など、専門の業者に委託をすることで出品することができます。大切な日本刀を正しい価格で売りたいと考えている人には、オークションがおすすめです。

オークションを委託する際には、信頼できる刀剣商・古物商を選ぶことが大切。また、日本刀の価値は時代によって左右されることはありませんが、お金の価値は社会情勢によって変化します。そのため、日本刀を購入したときと、売却する際の値段が大幅に違うことがあるため、注意が必要です。

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